暁 〜小説投稿サイト〜
短編集
艦隊これくしょん
艦これ短編 Scene1「叢雲」
[1/4]

前書き [1] 最後 [2]次話
Scene1「叢雲」


Chapter1-1「着任」


 世界の海が深海棲艦と言う化け物に支配され、艦娘と言う存在が人類とともに戦い始めてから、10年が経とうとしていた。
 艦娘と戦い始めてから、人類は徐々に制海権を取り戻していった。
 そんな中、俺こと本郷耕也がラバウル基地に着任したのは、8月の事だった。
 俺が着任した時、日本海軍では大規模攻勢をかけており、古参の提督が何人も戦死したことで、大本営にて雑用係をしていた俺に声がかかったのだった。


 二式飛行艇に揺られること十数時間、俺はラバウル基地第四鎮守府の建物内へ足を運んでいた。
 ちょうど鎮守府の三階に“執務室”と書かれたプレートが掛かっているドアを見つけた。

 「ここが俺の仕事場か」

 そう呟いて、扉を開く。
 するとそこには銀髪の少女が立っていた。
 彼女の頭には耳を連想させるようなものが浮いており、その手には槍を彷彿させるようなものを持っていた。
 少女は扉が開いた音を聞いて、こちらを向く。
 釣り目気味の目が一瞬、大きく開かれると、次の瞬間には眉が釣り上がった。

 「全く、この“叢雲(むらくも)”を待たせるとは良い度胸ね!」

 “叢雲”と名乗った少女はそう怒鳴り声を上げ、俺を指さしてきた。
 どうするか一瞬考え、素直に頭を下げた。

 「すまない、移動に時間がかかってしまった」
 「っ!?あ、あんた!仮にも司令官でしょう!簡単に頭なんか下げてるんじゃないわよ!!」

 ちゃんと謝ったら、怒られた。

 「まあ、いいわ。あんたが司令官ね。ま、精々頑張りなさい」
 「ああ、よろしく頼む」

 そう言い、右手を差し出すと、叢雲は少し目を見開いたがすぐに俺の右手を握りしめた。
 この日から、俺と艦娘たちの日々が始まる。




Chapter1-2「初戦闘まで(Side提督)」



 俺がラバウル基地第四鎮守府に着任して、数日が経った。
 初めのうちは、業務の確認などを叢雲と共に行っていたので、未だ戦闘はしていなかった。

 「そろそろ、叢雲にはこの鎮守府前海域のパトロールに行ってもらいたいと思う」
 「はぁ、やっと海に出られるのね」
 「すまないな」
 「だから、簡単に謝るんじゃないわよ」
 「性分なもんでな」
 「まあいいわ。すぐに準備するから」

 そう言うと、叢雲は心なしか嬉しそうに執務室のドアを潜っていった。
 艦娘の本分は海に出て、深海棲艦と戦うこと。
 それに自分が(ふね)だった時の記憶もあるから、海の上にいる方がしっくり来るのだろう。

 『司令官、準備出来たわ』

 そう考え事をしていると、俺の机に設置された無線から叢雲の声が聞こえてきた
前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ