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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、宣言する
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攻撃して自分がオレンジになることは、PKを行う上での妨げとなってしまう。
単に人を襲う大義名分が欲しいだけなら、隠れオレンジなど放っておいて、システムから正式に犯罪者として認識されている者だけを狙えばいいのだから、この情報紙の見解は残念ながら的外れといったところだろう。

であれば。
下手をすればSAO中のプレイヤーを敵に回すことになるとわかっていても尚、PKに関わったことのあるプレイヤーを狙う理由とは。
一体何が、彼をオレンジ狩りへと掻き立てるのだろうか―――

「……まあいいか。とりあえずお前、この話は他の奴らにはするなよ。特に『はじまりの街』の連中にはな」
「えー?別にいいじゃん、どうせすぐに広まるだろうし」
「いいから言う通りにしとけバカ。《ユニオン》の連中から流出するのは仕方ないけど、お前の場合は盗み聞きしたんだってことを忘れんな。そんなもんを自主的に広めるのはNGだ」
「ちぇっ、せっかくのとっておきなのになぁ」
不服な様子を隠そうともしない少年の頭を小突いてから、男は転移門へと歩き出す。
《ユニオン》の内部分裂疑惑に、《黒の剣士》の存在。最近はSAOでの生活も何かと面倒なことが増えてきた―――そんなことを思いながら。


実のところ、少年が盗み聞いてきた情報には肝心な部分が抜けていた。
最後まで話を聞いていれば、《黒の剣士》の目的がPKそのものではなく、とある集団に所属するメンバーだけを狙っているということに気が付いただろう。
少年が途中までしか聞くことのできなかった話は、以下のように続いている。

《黒の剣士》の最終目的は、半年前に迷宮区で発生した集団PKの実行犯、そのリーダー格である赤髪の女槍使いを殺害することである―――と。


───────────


「──以上が、現在我々が掴んでいる《黒の剣士》に関する情報です。既に投獄中のオレンジプレイヤーの証言によれば、先日襲撃を受けたプレイヤーも彼らの仲間であり、カルマ回復クエストを定期的に受けることでグリーンを維持し続けている───いわゆる隠れオレンジだという話です」
「隠れオレンジということは、奴の狙いはあくまでオレンジだけで、PKそのものが目的というわけではないんだな?」
「そのようです。しかし、いくら相手が隠れオレンジだとはいっても、体面上はグリーンを保っている以上、事情を知らないプレイヤーにとって《黒の剣士》はPK以外の何者でもありません。やはり早急に手を打つべきかと」
二人の男の声が、薄暗い会議室に響く。臨時集会と称して集められたプレイヤー達の前で言葉を交わしている二人は、攻略組の中でも一二を争うギルド《アインクラッド解放同盟》及び《血盟騎士団》から派遣された幹部クラスのプレイヤーだ。
石造りの卓を囲む十数名の間に漂う空気は
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