暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
93話:その男の名は……
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に巻き込まれないように飛び退いた。周囲にはガジェットの機影なし、とロングアーチからの報せを受け息を吐く。
これにてオールクリア、そう言おうとした瞬間。
―――ギィィン!
「ヒッ…!」
士の目の前にライドブッカーか突き刺さった。
先程ガジェットに突き刺したライドブッカーだが、ガジェット本体が爆発した事で飛んできたようだ。ともかくこれは―――
「あ、危なかった…」
〈そこは予想通り、じゃないんですね?〉
「いや、爆発した結果何処に落下するなんて、見てなきゃ流石にわかんない」
そう言うと士は突き刺さった剣を引き抜き、ブックモードにしてからベルトに装着する。
しかしシャーリーが言っていた妙な反応≠ニは一体なんだったのか。この感じで行くと、確実に俺専用の策か、足止めように増援が来るか。どちらかが来るだと思っていただけに、士は若干拍子抜けしていた。
「取りあえず何もなかったし、なのは達……は大丈夫だろう。フォワード陣の方をフォローしようか」
〈了解です。ではハードタービュラーを―――〉
先程呼び出し、別の場所で待機させていたハードタービュラーを呼ぼうとしたトリスだが、途中でその言葉を切った。
士は疑問に思ったが、トリスに聞くような事はしなかった。何故ならその原因が、おそらくわかったから。
―――足音だ。先程まではしていなかった、アスファルトの道路にコツンコツンと響く足音。おそらく一人分であろうそれが、少しずつ士に近づくように大きくなってきていたのだ。
〈……マスター、新たな反応が〉
「あぁ、解ってる。どうやらガジェットじゃなさそうだ」
T型でもU型でも、V型でもガジェットはこんな足音は出さない。尤も、人型のガジェットが出たら話は別だが。
取りあえずガジェットではない、別の何者かがこちらに近づいている。そのことだけはわかる。
気配は感じている、後ろの方。そう決めつけた士はゆっくりと、顔だけでなく体ごとそちらに向けるように振り返った。
コツコツと足音を立てて現れたのは、人型だった。しかし見た目はただの人間ではない。
四肢は赤いアンダースーツに、所々に銀色の装飾。胴部にはチェーンメイルのような模様の描かれた、白いアンダースーツ。そして手には胴が白く、持ち手が黒い槍―――否、西洋のランスを思わせる武器が収まっていた。
何よりその人型の胴体には、これまた西洋の甲冑のようなものが付いていた。それは胸部は黄色と黒、肩周りは黄色と銀で配色されており、肩周りの甲冑は横に大きく飛び出ていた。
そして同じく西洋の兜に似た仮面を付けており、顔の両側にある角と共に黄色に光っていた。
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