暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜優しき仮面をつけし破壊者〜
StrikerS編
93話:その男の名は……
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「俺が行く」
『え…?』
『まぁそうやな、今手が空いてるのは君しかおらんからな』
モニター越しに聞いていたはやては一度頷き、出撃の許可をくれた。
『でも士君、これは…』
「あぁ、解ってる。俺も嫌な予感、ビンビンに感じてる」
今までよりも多い布陣、そして陸と空を二分するような配置。
ここまでの戦力で、こうも戦略的に動いてるように見える動き、そして今までにはなかった嫌な予感。
これ程の事をやってくるのは、きっと理由がある筈。
いつもと違い、レリックが二つ見つかったからか? それとも……
(この少女、か……)
士はそう考えを巡らせ、横になって眠る彼女の顔を見る。
いつもと違うと言えば、彼女の存在もある。レリックを持って何処からか現れた少女、一体何者なのか。
(―――って、今考えても仕方ないか)
しかしそこで考えを振り切り、ヘリを降りる。先に降りていたなのはとフェイトは既に空へ上がっている、自分も急がねば。
そう決意し、トリスを腰に巻きカードを取り出す。
〈 ATACK RIDE・HARD TURBULER 〉
カードで呼び出したのは、黒いボディに赤いユニットの付いた機体ハードタービュラー=B
灰色のカーテンから出てきたそれに跨り、すぐさまアクセル。後部ユニットのエンジンも稼働し、機体は宙に浮く。
向かう先は、ミッドの廃棄都市区画。
廃棄都市区画に向かう最中、士達はギンガが参加した経緯を聞かされた。
ギンガが向かった事故現場にあったのは、壊れた生体ポットにガジェットの残骸、そして何か引きづった跡。
しかもその生体ポットは五、六歳が入るようなもので、更には人造魔導士計画≠フ培養器によく似ているとのこと。
俺達が救出した少女も、丁度五、六歳程。ギンガの見解は、彼女は人造魔導士の素体として作られた*スだと。
「―――ったく、嫌な世の中だ」
平然と人間をいじるような行動が為されている。人の命を弄ぶような、残酷な仕打ちが…平気に行われている。
前の世界≠ナはそう言う実情を知る事はなかったとはいえ、許される筈のない行為だ。
そう感じた士は小さく呟き、歯ぎしりを鳴らす。
彼女はこれからどうなるのだろう、どう生きるのだろう? 親もなく身寄りのない、独り身の状態の少女が歩む未来は、果たして明るいだろうか。そう思うと、嫌な予想しか頭に残らない。
しかし嫌な流れに逆らうように、士は頭を振った。
今は目の前の事に集中するんだ、彼女の事はこの後でも大丈夫だ。しっかり守ってやらね
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