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問題児たちが異世界から来るそうですよ? 〜無形物を統べるもの〜
一生勝てねえ
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「なあ、一輝・・・」
自分のもとに近づいてくる気配にすがりたくて、それを見もしないで、訪ねてしまう。
「俺は、どうすりゃいいんだよ・・・」
その問いを。自分ですら答えを出せていないその問いかけを、してしまう。
彼は、なまじ強かったが故に抱いてしまったその問いに、自らよりも強いものならば答えることができるのではないかと、自分ではわからないその答えに導いてくれるのではないかと、期待してしまった。
「俺にはもう、何をすればいいのかも、何をしたいのかも、わからねえんだ」
涙とともに吐き出される、問いかけ。そんなもの・・・
「そんなもん、俺が分かるわけねえだろ」
そんなもの、他人が答えられるわけがないのに。
========
もう、立ち上がるだけの気力すらわかない。うずくまるように四肢をついて、頭を地面にこすりつけるこの体勢を、変えられそうにもない。
「俺にはもう、何をすればいいのかも、何をしたいのかも、わからねえんだ」
だから、頼む。その気力を与えてくれ。
俺自身の涙で濡れる地面を見ながら、吐き出したその問いかけは。
「そんなもん、俺が分かるわけねえだろ」
はっきりと、否定された。
あれだけ他者を導いてきたこいつが、アジ=ダカーハにすら神託を与えたこいつにすら、分からないのかと。そう驚愕して顔を上げると・・・目の前には、あいつの足が。そのまま振りぬかれ、蹴飛ばされる。
階段を転げ落ちた。途中、段になっていないところで転がるのが止まり、そのまま四肢を投げ出して、あおむけになる。顔が濡れているのが分かった。涙と、鼻水と・・・鼻血まで出てやがる。そのせいで砂とか砂利までついてんじゃねえか。
ハハ、ホント・・・なさけねえな。
「テメエにすらわかんねえもんが、俺に分かるわけねえだろ」
ああ、確かに言われてみりゃその通りだ。あいつだって分かってたのは、俺にも自覚があったものくらいだしな。
「その上で言ってやるが、その辺りの事すら分かんねえなら、もう拳を握るな。そんな状態で戦いに挑んだところで、何の役にも立たねえよ。むしろ邪魔なだけだ」
ああ、これもその通りだ。あれ以来、どんなゲームに参加してもへましてばっかりだしな。
「だがまあ、そんな状態になってても俺にとっては大切な仲間なんでな。本拠にでも引きこもってろよ。ちゃんとまとめて守ってやる」
ああ、そりゃいい。あいつが守るってんなら、そこまで安全な場所もねえ。さっさとギフト手放して、毎日ガキどもの手伝いでもして過ごすか。
「ああ、それともう一個」
ああ、でも・・・なんか、引っかかるな。
「お前が黒ウサギと交わした約束・・・残りも全部、俺が果たしといてやるよ」
・・
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