第6話
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果、千歯扱きの設計図、楽市楽座の概要と経済効果、揚浜式塩田や入浜式塩田など、多数の政策とその欠点などが書かれていた。
「私塾に行っている間、父上にはこの政策を推し進めてもらいたいのです」
「う、うむ全ては無理かも知れぬが重鎮達と相談してみよう――」
「それから」
「まだあるのか!?」
「今後袁家で商売を始め、売っていただきたい物がありまして――、こちらです」
そう言うと袁紹は黒い液体を差し出した。
「何だこれは、墨?」
「いえ、調味料です」
「なっ!?この液体がか!?」
「はい、どうぞひと舐めしてみて下さい」
その言葉に袁逢は恐る恐る指を黒い液体につけ舐めた。
「っ!?これは――、なんと濃く芳醇な味だ……」
「魚醤と申します」
実は袁紹は一時期日本食が恋しくなり、前世でたまたま魚醤の作り方を知っていたため、醤油の代用品として作っていた
「これの製法を袁家秘匿とし、利益を独占するようにして下さい」
「……」
袁逢は思わず息を呑んだ、袁紹が提案した政策の数々―――そしてこの魚醤、どれほど成し遂げられるかわからないが、それによって民のみならず袁家にも莫大な財が入ることは想像できた。
「お前は……、それほどに財を成してどうするつもりだ?」
この疑問は袁逢にとって至極当然なものでった。名族である袁家はすでにかなりの財を保有している。
先の時代に待つ動乱に備えるためとはいえ、ここまで利益を追求する理由がわからなかった。
「この先に起きるであろう時代の転機において、我の策を成すためには莫大な費用が必要なのです」
「……」
袁逢には息子が何を見据えているかわからなかったが、彼が考えなしに言っているわけではないことは理解していた。
「……最後に一つ聞きたい、これは全てお前が考え付いたのか?」
「はい、我が幼少の頃より異国の書物を参考にして考案しました」
さすがに未来の知識によるものだとは言えず、袁紹は無理があるとわかりつつも自分が考案したことにした。
「……そうか」
これにはさすがに袁逢も嘘だと気がついたものの
(聡明な我が息子が無意味な嘘をつくとは思えぬ、又ここで嘘をついても利点は無い、ならば本当の事を言えない理由があるのだろう。……まぁよい、ワシは息子を信じこの政策を推し進めるとしよう……)
「わかった……、何分やることが多く革新的なため時間は掛かるが慎重に重鎮達と進めることにする。
それでよいな?」
「はい!ありがとうございます父上!!」
「うむ、しばしの別れだが達者でな」
………
……
…
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