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ルドガーinD×D (改)
五十五話:絶望
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するが、声はなおも彼の頭の中に響き続けた。


――覇に身をゆだねれば、奴を壊せる――


その言葉にイッセーの心は大きく揺れ動くが、ドライグが必死にそれを呼び止める。覇に身をゆだねることは滅びへの道だと必死に説得し、イッセーも何が何のかは分からないまでもドライグへの信頼感からそれに納得していた―――


「そろそろ消していこう。……まずは、回復役の君から死んでもらおうか。アーシア・アルジェント」

「―――っ!? イッセー……さ…ん」


―――アーシアがヴィクトルに心臓を剣で貫かれるのを目撃するまでは。


「アーシアァァァアアアッッ!!」


胸から血を噴き出しながら、悲鳴を上げることもなく、最後に自分の名前を呟いて目を閉じるその姿にイッセーの中の大切な物が音を立てて崩れ始めた。悲しみの絶叫の果てに彼の口からは自分の物とは思えない言葉が出てくる。


『我、目覚めるは―――』
ドライグが必死に呼びかけるが彼は反応を返さない。

『覇の理を神より奪いし二天龍なり―――』
逃げろと、意味もないのにドライグがリアス達へと叫びかける。

『無限を嗤い、夢幻を憂う―――』
ヴィクトルが異変に気づき手を止めてイッセーの方を見つめる。

『我、赤き龍の覇王と成りて―――』
その場にある全ての視線が異形となりつつある彼に釘づけになる。ただ一人―――

『汝を紅蓮の煉獄に沈めよう』
―――胸から滴り落ちる血で地面を赤く、赤く、染め上げているアーシアを除いて。



『Juggernaut Drive??』



それは赤龍帝の力を一時的に完全開放した状態。 全てを破壊衝動に呑まれ、周囲を一切合財破壊し尽くす。その根源は死んでいった歴代所有者たちの残留思念が持つ怨嗟であり呪いであり、当代の所有者である彼を自分たちのもとへ引きずりおろそうとするものであった。使用条件は生命力を著しく削り、止まらなければ最後には―――死ぬこと。


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