五十五話:絶望
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んて、誰が言うかよ!」
ボロボロながらも強い意志の籠った眼でハッキリと口にした提案を拒絶する言葉。その言葉にリアス達はホッとし、ヴィクトルは眉をひそめる。ヴィクトルはこの少年なら間違いなく自己犠牲の精神を発揮して自分から自害すると思っていた。だが、その期待は裏切られたのだ。
「……何故か、聞いてもいいかね?」
「前までの俺なら…多分、あんたの申し出を受け入れてたと思う。でもな……俺はあいつに……ルドガーに、お前の事を絶対に犠牲にしないって言ったんだ。だから―――それを言った俺が逃げたらダメだろうが!」
今まさに殺されかけようとしているにも関わらずに闘志の消えない瞳にヴィクトルは僅かにだが昔の自分を思い出す。何もかも救えると愚かにも信じていたあの時の自分を。彼は少しなにかを考える様に目を瞑り、それから大きく息を吐き出す。そして、掴んでいたイッセーを地面へと放り投げる。ヴィクトルは、今度は倒れているリアスの元へと歩いていき、そして―――
「君は選択を誤った―――絶望を知れ」
―――容赦なくその体に鉛玉を撃ち込み始めた。
「キャアアアアッッ!?」
「や…やめろぉぉぉおおおっ!!」
「何を言う、これが君の―――選択だ」
絶叫するイッセーに対してヴィクトルは冷たく言い放ち、今度は隣で倒れている朱乃に対して銃弾を撃ち込む。さらにはまるでゴミのように蹴りつけて吹き飛ばす。それはまるで、選択を誤り全てに絶望した彼が同じようにイッセーに絶望を与えているようだった。
「くそっ! 止めてやる! 絶対に止めてやる!!」
「無駄だ。君はもう動けはしない。そこで黙って見ていろ」
イッセーの叫び声に対して振り向くこともせずに淡々とまるで作業をこなすようにヴィクトルはグレモリー眷属達を傷つけて行く。急所はまだ狙っていない。すぐに殺してしまっては自分と同じレベルの絶望を味あわせることは出来ないと彼には珍しく怒りによる衝動で動きながら。
イッセーは何度も叫び続けた。傷ついていく仲間をその目に焼き付けながら。そして、同時に己の選択を後悔し始めた。あの時、自分が犠牲になっていればこうはなっていなかったのだと目の前の現実から必死に目を逸らしたくて、後悔していた。だが、まだ彼の心の中には諦めていない部分があった。その部分で彼は必死に何とかしようともがいていた。
そんな時だった。
――覇を求めろ――
彼の脳裏にそんな言葉が聞こえて来たのは。
「……覇?」
『いかん! 相棒、その言葉に耳を傾けるな!!』
藁をも掴む気持ちでイッセーはその言葉に耳を傾ける。それに対してドライグはそれが何かをすぐに察知して叫び声を上げてそれを阻止しようと
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