五十五話:絶望
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乱れぬ行進でヴィクトルの元へと襲い掛かっていく。その速さは術者である祐斗の速さと同等のものなので、並の相手ではその速さの軍団が突撃してくるだけでも恐怖ものだろう。だが、生憎相手は並どころか特上でも足りないレベルだ。
相手が生身の人間ではないので斬りつけても無駄だと素早く判断したヴィクトルはハンマーへと持ち替えて騎士団の前の前にハンマーを振り下ろして地面の岩盤を粉々に砕く。そのせいで、進むべき道が無くなった騎士団は飛び越えてヴィクトルの元に行こうとするがそれは足元から突如として現れた氷塊により阻まれる。
そして、身動きが取れなくなった騎士団へと向けヴィクトルは腕だけ骸殻化させて出した槍を全力で投擲する。すると、動けない騎士団の大半はまるでボーリングかのように槍によって貫かれながら吹き飛ばされてしまう。そのあっという間の出来事に祐斗が思わずショックを受けている所にヴィクトルが後ろに回り込んでその背中を容赦なく切り捨てる。
「悪いが、味方がいなかったもので一対多の戦いには慣れているんだよ」
「祐斗っ!?」
「イッセー! アスカロンを貸してくれ!」
「わかった!」
少し自嘲気味にそう呟くヴィクトルと力なく崩れ落ちる祐斗を見てリアスが怒りにも似た叫び声を上げ、アーシアの治療を受けて回復したゼノヴィアがその様子を見て、イッセーから聖剣アスカロンを受け取り、雄叫びを上げながらヴィクトルへと斬りかかって行った。
「ヴィクトルゥゥゥッ!!」
「甘いな。それでは剣を振っているのではなく、剣に振られているのと変わらないぞ」
怒りで太刀筋が甘くなっているゼノヴィアの剣など相手をするに値しないと言わんばかりに、デュランダルとアスカロンの暴風のような猛攻を反撃一つせずに紙一重で避けていくヴィクトル。そんな様子に見かねた小猫が火車を投げつけてゼノヴィアを援護しようとするがヴィクトルは巧みに立ち回り下手に投げれば同士討ちになるように動いているので迂闊に投げられない。
そんな所に突如として無数のコウモリが現れて二人の視界を塞ぐ。コウモリの正体はギャスパーの能力だが攻撃力自体は極めて低い。だが、視界を塞がれるという状況はただ避けているだけのヴィクトルにとっては悪夢でしかない。当たらなければ意味がないが、逆に言えば当たってしまえばゼノヴィアの剣は必殺に近いのだ。
その事を理解しているヴィクトルはすぐさま後ろに飛び下がり、ゼノヴィアとギャスパーから間合いを取る。すると、そこには無数の赤黒い滅びの魔力弾が浮かんでいた。それはとても小さく猫だまし程度の効果しかないだろうとヴィクトルは判断して再び迫ってこようとしているゼノヴィアに目を向けるが、それは間違いだった。
「収束しなさい!」
「何だと!」
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