鎧武外伝 バロン編
鏡のようにそっくりだから
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
室井咲は今日のダンスを披露するステージへ走っていた。
例のオールスターステージ以来、ビートライダーズはチームの垣根を超えて踊る大きな輪となった。
今日のステージも、チームバロン×チームリトルスターマインのコラボステージなのに。
(うう〜、これ絶対チコクする〜! 学校の先生のお手伝いなんてたのまれてあげなきゃよかった。もう始まってるよねこれ時間的に。うあ〜!)
急いでいた咲は前しか見ていなかった。
そのせいで横から出て来た人物とぶつかって、こけた。
踏んだり蹴ったりである。
咲はつい相手を涙目で睨みつけ、――毒気を抜かれた。
「戒斗、くん? 何そのカッコ」
ぶつかった相手は戒斗で、いかにも高級な薄藍色のスーツを着ていた。
戒斗は咲を一瞥し、特に何を言うことも、助け起こすこともせずに再び歩き出した。
(ぶっちゃけ何であんなカッコしてるのかチョー気になるんだけど。戒斗くん、赤系しか着ないのに。てか何で怒ってたんだろ。ぶつかったから……じゃないよね)
紘汰との接触率は高いが、戒斗はあちこちを渡り歩いているせいか会える機会が少ない。
せっかく紘汰と協力し合う仲に戻れたのだ。戒斗とも手を結び直したい。
咲はスマートホンを出して、今日一番のステージには間に合わない旨をメールにしたため、ナッツに送信した。そして、戒斗を追いかけて走り出した。
戒斗が(咲にも分かるほどに)怒気を露わに向かったのは、工場地帯の一角。
そこには何かから逃げてきたように息を切らす舞と――戒斗に瓜二つで、チームバロンのユニフォームを着た青年がいた。
「戒斗が、二人!?」
舞が驚いて戒斗と、戒斗そっくりの青年を何度も見比べている。
咲はといえば、興味本位で付いて来て、予想を超えた展開にぽかーんとして声も出なかった。
「偽者だ。そいつは俺じゃない」
戒斗は歩いていくと、彼の鏡写しのような青年の首根っこを猫の仔のように掴み上げ、乱暴に引っ張って歩き出した。
「ええっと……」
咲は慌てて戒斗たちを追いかけた。
まずは服を元に戻さなければ、また周囲が誤解する。適当な場所で着替えようと、戒斗はシャプールを引っ張って行った。咲が付いて来たことに対しては、特に何も思わなかった。
「ね、ねえねえっ。あなたダレなの? 戒斗くんの何?」
「えっ? あ、ええっと、僕はシャプール。ちょっと事情があって、カイトに入れ替わってもらって」
「確かに双子って言われても違和感ない〜。あ、あたし、咲ってゆーの」
「サキだね。僕もびっくりしたんだあ。日本に僕そっくりの人がいるなんて思わなかったもん」
「何が『入れ替わってもらって』だ。人をクスリ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ