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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第二八話 一線
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これを実際の配線で例えると、多芯ケーブルの被膜同士だけを縫合し中の銅線は接続しないということだ。
この神経縫合の後に、神経は被膜の内側を伸びていき軈てクローン部位の神経と接合する――そして神経線維どうしは似通った神経線維と結合しやすいため正しい神経配線で接続されやすい。
実際には、比較的近い配置で神経が繋がるというだけで、本来とはまったく違った神経線維どうしが繋がってしまうことも珍しくはない。
だが、そういう場合は脳の感覚神経の機能切り替えやネットワーク再構成が発生するためリハビリ次第では能力回復を見込める―――しかし、これは個人の体質と運、それに執刀医の技量に大きく左右される。
神経接続の結果、日常生活に問題なくとも神経反応を操縦に反映する戦術機の操縦に支障を来し衛士としての道を閉ざされる人間も決して少なくはない。
「閣下、詳しくお話をお聞かせ願えますか?」
意を決して問い入ったのは唯依だった。まるで我が事のように彼女は言った。
それに答える声は彼女の隣、忠亮からだった。
「肺と一緒に損傷した心臓だな。」
「ああ、衛士として最大の命綱とも言うべき臓器―――厳密には心臓ではなく、その心臓に繋がっている神経だが……その神経節を再生する技術がない。」
心臓の心拍制御には二通りの方法が存在している。
それは延髄から伸びる自律神経での制御、そしてもう一つは血中ホルモンによる制御だ。
血中ホルモンによる心拍制御で通常は問題がなく、心臓自体も刺激伝道系と呼ばれる自律稼働を行わせる特殊な心筋を持っているため脳と繋がる神経は日常生活では必要ではない……が、急激なGが掛かり心臓の迅速な血流制御を要される機動兵器のパイロットとしては致命的だ。
血中ホルモンによる心拍制御は即応性に難があるからだ。
こういった自律神経が切断され肉体と血管だけで繋がった心臓を『除神経心』と呼ぶ。
圧潰したコックピットに押し潰されたとき、他の内臓と一緒に心臓の神経を損傷していたのだ―――右半身を押し潰されたのだ。
強化装備の生命維持機能があっても生きているだけで奇跡だ。
「仮に欧州式の再生医療が上手くいったとしても、手術の失敗の可能性は元より人体適合素材を用いていたとしても拒絶反応のリスクは常に存在する。
中長期的に見れば我が国の再生医療のほうが拒絶反応のリスクも無く死の危険はない。」
回復が早いが定期的なメンテナンスと拒絶反応という爆弾を背負うことになる欧州式か、部分クローニングより製造した部位の移植という観点から拒絶反応が存在しないが、能力回復の確証がなく治癒に時間を有する日本式か。
どちらも一長一短。
そして日本式であれば死の危険がないが衛士としては再起不能。欧州式であれば機能回復の可能性
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