成長編 素材
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はある。だから乗っ取りは―――なに? 金と流通ルートさえ残してくれると約束するなら教えてくれるのか? なら麻薬は? ―――そっちはいらないのか、では麻薬は全て燃やしておく。心配するな、金と流通ルートは約束通り残しておいてやる。後はそっちで好きにすると良い。しかし金はわかるが、何で流通ルートを? ―――そういう事か。警戒するのはわかるが、一応全部が全部そうではないからな。で、場所は? ―――なるほど、その辺りに麻薬を売るマフィアがいるのだな。少し遠いな……まあいい、とにかく助かった。礼を言うぞ“オセロット”……いや、今は“リキッド”か。すまない、今後連絡を取る際は気を付けておく。……通信を切るぞ」
やり方は少し汚いが、とにかく連中の潜伏先が判明した。シュテル達にこれから内陸の方へバイクでしばらく走る必要がある事を告げると、彼女達は俺の両肩と頭にそれぞれしがみついた。いくら認識阻害魔法がかかっていると言っても、彼女達の存在の重みが感じられるから多少動きづらい。
まぁバイクで移動するだけなら別に問題ないのだが……。そう思ってバイクに跨ろうとした時、背後から身の毛がよだつ程のとんでもない殺気が一瞬だけ感じられた。
「へぇ〜、おめぇさんも連中を探してんのか? こいつは奇遇だな」
意外と耳触りの良い男性の声が背後から聞こえ、静かに冷たい汗が流れる中、俺は暗黒剣に手をかけながらゆっくりと振り返る。
「実はな、俺もなんだ」
そこには……異国の“サムライ”がいた。クセの強く長い黒髪をちょんまげに結わえ、左眼に大きな傷跡が残り、薄い黄土色の鎧らしき服装をしていて、腰に携えている刀には鞘にトリガーが付いていたりと機械的な改造が施されている。ひょうひょうとした雰囲気を装っているが、その実、とんでもない鋭さの眼光をしていた。
それより今の言葉……どうやらさっきの通信を聞かれたか。しかし彼が俺の探しているマフィアの傘下にある者だったら、すぐに斬りかかってきていたはず……という事は会話の余地はあるようだ。
「おまえは?」
「なに、ただの流浪人さ。連中には返さなきゃならない借りがあるんでね、ようやくここまでたどり着いた所に、同じマフィアを探してる小僧達と出会ったのさ」
「そうか……今の内に言っておくが、俺は小僧じゃない。サバタだ」
「オーケー、ちゃんと覚えたぜ、サバタ。それと……すまんが、小僧が出しゃばるのはここまでにしてもらおうか。連中をぶっ潰す汚れ役は俺がやる、小僧は家に帰ってママとねんねしてな」
「フッ……俺にはもう母親はいない。おまえの命令は最初から聞けないな。それにおまえこそ一人で始末を付けるつもりなら、大人ぶってないですっこんでろ。俺にだって意地がある、奴らを叩き潰すのは俺の役目だ」
「ほう? おまえ
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