2ndA‘s編
第十七話〜夜明け〜
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より砕け、轟音が大気を揺らす。
その衝撃と反動により、自身の体内から異音と激痛が生じるが、今は目の前のナハトヴァールの対処についての優先順位が上であると思考が断じる。
蹴りを放ったことにより崩れた姿勢をエナジーウイングの操作で持ち直しながら、再び魔力を収束させていく。
姿勢が整った瞬間、先の一撃と同じように一撃を放つ。
やっていることは単純な作業。しかし、扱っている魔力の量や運用方法が一般的な魔導師からは逸脱しすぎていた。
『迎撃が来ます。数は三』
「――――のっ!」
耳で直接聞いたのか、それとも念話で伝えられたのか認識できなかったが、エナジーウイングで回避行動を行う。
その際に生じた加速を更に蹴りの勢いに上乗せするため、身体を捻る。
身体の内側から更に異音が聞こえてくるが、蹴りが障壁に叩きつけられる音によりすぐに聞こえなくなる。
接触時の爆発するような音から数秒遅れて、一枚目の障壁に亀裂が入り人一人分が入れる程の穴が空く。
「――――」
ほぼ反射的にその中に飛び込み、再び魔力を収束し蹴りを放つ。
既にボロボロであったパラディンの装甲も損傷部から剥離し始めている。だが、それと引き換えに二枚目の障壁にも亀裂が入り始めた。
『接近警報!』
あと少しで抜けそうな二枚目の障壁越しにナハトヴァールの一部であった人型の何かが見える。
それは怪物のようなナハトヴァールから生えるようにして存在して、女性の姿をしている部分である。その姿はナハトヴァールの本体が出てくるまでライが交戦していた人型と酷似していた。
人型が障壁をすり抜けるようにしてライに近づく。間の悪いことにライは姿勢制御の途中であり、対応が遅れてしまった。
排除しようとすると言うよりは、どこか求めるように、若しくは愛おしむように人型が右腕を伸ばしてくる。
体勢が崩れている中、なんとか対応しようとするライは人型の右腕を弾こうと左腕を振るう。
鞭のように振るわれた左腕は振り抜かれるが、ライの望んだ結果をもたらしはしなかった。
「ぅあ?」
口から間の抜けた声が漏れる。何故なら振り抜いた左腕からは脱力感と気味の悪い安らぎを感じてしまったのだから。
心を犯されるようなその感触に嘔吐感を覚える中、視線を元凶となる左腕に向けると疑問が氷解する。
人の腕の形をしていた人型の右腕はいつの間にか木の根を彷彿とさせる触手となり、ライの左腕に張り付いていたのだ。
『三名のチャージが終わります!即刻退避を!』
悲鳴のような勧告が聞こえるが、それが誰の声かを今のライは認識する余裕がなかった。
触手は見た目通り、根を張るようにライの腕に潜り込み、這い登るようにして胴体の方に進行してくる。そこに痛みはなく、
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