After12 光に焦がれたカラス A
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スインベスはふらふらと龍玄に迫ってくる。
カラスインベスに攻撃の意思はない。何故なら彼女の望みは「光実に殺されること」だから。
そのためにこの子は地球へ帰って来たのだから。宇宙の塵と消えるリスクを侵して、バケモノとして囚われる危険を顧みず。
『呉島くん、オね、ガ、イ』
『どうして――生きればいいじゃないか。死ぬ必要なんてないじゃないか!』
この街には妹や戒斗といった、ヘルヘイムを克服してヒトとして生きている実例が二人もいる。この子もそうなれないことはないはずだ。
この子は学校では完璧に人間だった。光実に数式の答えを教えてくれるくらいには頭脳もある。それならば沢芽市で人間として生きていくのに不都合などないはずなのに。
カラスインベスは首を横に振った。
『ワタシタチ、インベス。ヘルヘイム、ノ、果実、食べナイと、死ヌ。ワタシハもウ末期ッて、ロード言った。今日ガ、ワタシが人間ラしくいラれるリミット』
ヘルヘイムの果実は地球上のどこにもない。全て紘汰と舞が持って行った。
オーバーマインドと名乗ろうが、本質はインベス。食糧になる果実がなければ、餓死するしかない。
『――――分かった』
龍玄はカッティングブレードを2回倒して、ブドウ龍砲を、至近距離に来たカラスインベスの胸に押し当てた。
《 ブドウオーレ 》
『さよなら。ごめん』
龍玄はレバーを引き、トリガーを引き絞った。
かつて龍の息吹と称された紫の光弾は、カラスインベスの胸部に留まらず胴体をぐちゃぐちゃに破砕し、爆散せしめた。
『ごめんね。最後まで名前、呼べなくて。ノート見せてくれて、ありがとう』
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