After11 光に焦がれたカラス @
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も限界に達し――
「先生。上の問題、やらせてもらってもいいですか?」
教師が許可を出して、二人目の生徒が光実のそばに寄って来た。今朝挨拶したあの子だ。
並ぶと、その子が光実より頭二つ分は長身だと分かった。
その子はノートを見るフリをしながら、光実の肩を小突いてきた。こんな時なのに。
光実は焦りを隠して彼女のノートを見た。
光実が指名された問題の数式の解答が書いてあった。その下には矢印でメッセージが。
――『これ見て書いて』――
その子はどんどん上の問題を解いていく。
いけない。早く書き写さないと、先にこの子が帰ってしまったら、本当に大ピンチだ。光実は急いで数式をホワイトボードに書き尽くした。
光実とその子が席に戻ると、教師は問題の二つともに赤いペンで〇をして、解説を始めた。
ありがとうを言いたいのに。席が微妙に離れているのがもどかしかった。
放課後。さすがにこの時間は、名門校の生徒であれざわつく。そこでお茶しようだのあそこに寄ろうだの。特に女子の盛り上がりは、光実であっても軽く引く。
「呉島くん」
「……」
「呉島くん」
「え? あ、なにっ?」
光実に声をかけたのは、例のノートを見せてくれた女子だった。
「来てほしいとこがあるの。一緒に帰ってくれない?」
「ええっと、別にいい、けど」
その子はほのかに笑んだ。光実が知るどの女子とも異なる笑い方に、つい見入った。
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