暁 〜小説投稿サイト〜
晃とクロ 〜動物達の戦い〜
7部分:第七章
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初
さんが住んでいたお寺の前でクロと話をしていた。そこではお葬式が行われていた。
「誰も。あんな話信じたりしないよ」
「それもそうか」
「住職さんが脳味噌やら内臓やら食べて力をつけていたってことも」
「そして街を自分のものにしようとしてたってこともな。誰も信じないか」
「あの最期もね。だって僕だって最初は信じられなかったんだから」
「俺が人間の言葉を話すことか?」
「そうさ。本当に耳を疑ったよ」
「まあそうだろうな」
「そうだろうな、じゃなくてさ。今でも普通にしゃべってるし」
「気にしない気にしない」
「僕はいいけれど他の皆の前では話さないようにしてね」
 そう言って釘を刺す。
「さもないと大騒ぎになるよ」
「ちぇっ、面白くないなあ」
 クロはそう言われて口を尖らせた。
「折角の人を驚かせる楽しみが」
「猫ってそんなことしか考えられないの?」
「悪戯をするのが猫の仕事なんだよ」
 それに対するクロの返事である。
「それをわかっていないのは困りものだぜ」
「僕は別に困らないよ」
 晃はこう返した。
「少なくとも人間はね」
「わかったよ。じゃあ黙っておいてやるよ」
 憮然とした様子で言う。
「御主人に言われちゃ仕方ないからな」
「けれどそれは君だけじゃないよ」
「えっ!?」
「他の動物も。いいね」
「厳しいなあ、それって」
「さもないとまた騒ぎになるだろ。そうなったら君達にとってもよくないよ」
「わかったよ、じゃあ皆にも伝えておくよ」
「絶対にね。それでもうあんな事件のことは忘れよう」
 彼はお葬式の黒と白の垂れ幕を見ながら言った。
「住職さんだって。最初は人間だったんだ」
「いい人だったらしいな」
「僕が小さい頃はね。真面目で優しい人だったんだよ」
「それがどうしてああなっちまったんだろうな」
「人は変わるって言われてるよね」
「ああ」
「それじゃないかな。よく変わる場合もあれば悪く変わる場合もある」
「住職さんは悪く変わっちまったってことか」
「多分ね。それじゃ家に帰ろうか」
「ああ。帰ったらどうするんだ?」
「まず君の餌からだね。何がいい?」
「脳味噌を」
「・・・・・・冗談じゃなかったら酷いよ」
「冗談だって。魚のキャットフードでいいよ」
「君あれ好きだね」
「人間には人間の、猫には猫の食べ物があるだろ」
「うん」
「そういうことさ。俺だって他の仲間達だって本当は脳味噌なんて食べたくなかったのさ」
「そうだったの」
「住職さんの実験に使われたけれどな。御主人だって普通はそんなもの食いたくはないだろ?」
「モツは好きだけれどね」
 だがモツと人間の脳味噌や内臓は違う。また別のものである。
「な?あんなの食える奴なんてさ」
「奴なんてさ」
「化け
[8]前話 [1] [9] 最後 最初


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ