7部分:第七章
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がき苦しむ住職を見て思わずガッツポーズをした。晃は自身の考えが見事に的中したことをこの時確信していた。
「上手くいったな」
「なあ、一体何なんだよ、あれ」
傍らにいるクロが彼に問う。
「裏山からいきなり出て来たけれどよ」
「蜂だよ」
「蜂!?」
「そうさ、その証拠に羽音が聞こえるだろう?」
「ああ」
クロは頷いた。確かに蜂のあの羽音が五月蝿いまでに聞こえてきていた。
「倉庫に蜂蜜があるって聞いたのと裏山に蜂の巣があるって話でね。それで思いついたんだ」
「そうだったのか」
「上手くいけばいいなって思っていたけれど見事に上手くいったね」
「もう少し時間が遅けりゃわからなかったな」
「そうだね」
もうすぐ夜になろうとしていた。昼の虫である蜂の時間は間も無く終わろうとしているのだ。時間的にもギリギリの賭けで
あったのだ。
「本当に。イチかバチかだったんだよ」
「若し蜂が来なかったらどうするつもりだったんだよ」
クロは問う。
「都合よく蜜に誘われてわんさと来たからよかったけれどよ」
「その時はどうしようもなかっただろうね」
彼は言った。
「やられるだけだったさ」
「またえらく吹っ切れてるな」
「そうかな」
「これが成功しなかったら。マジでやばかったんだぜ」
「まあ結果オーライってことで」
晃の声は明るかった。
「それで許してよ」
「まっ、それでいいか」
クロもそれで納得することにした。
「とりあえずこれで住職さんは終わりだろうし」
「蜂の毒ってマムシの毒より怖いんだよね」
「考えようによってはな」
その言葉に当のマムシが答えた。
「俺の毒より怖いな。ショック症状があったりするから」
「そうなんだ」
「首とか頭をやられるとな。特にまずいんだ」
「あれだけの蜂にやられてたら?」
「個人差はあるだろうがかなりやばいな」
マムシは言う。
「もう助からないな、あれは」
「そうなの」
「これで街の平和は守られたってわけだな」
「そうだね」
蜂は何時までも住職の身体を覆っていた。それは住職が倒れても続いていた。最早動かなくなり、そこに伏していてもだ。彼等は執拗に攻撃を続けていた。そして晃達はそれを見守っていたのであった。
それから数日後蜂に刺された住職さんの遺体が発見された。それは腐敗しているうえに身体中蜂の刺し後がありかなり無残なものだったという。だが警察はそれを事故として扱った。傍目には確かに不可思議だがそうだとしか思えない状況だったからだ。住職さんは蜂蜜を頭から被ってそれに誘われた蜂によって死ぬという実に奇妙な最期を遂げたということになった。事の真相を知っているのは晃と動物達だけであった。
「事故で終わっちまったらしいな」
「まあそうだろうね」
晃は住職
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