ファントム・バレット-girl's rondo-
第七十七話
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の髪をした彼女の顔が目の前に現れていた。
「こーら! 目の前に人がいるのに考え込むんじゃないの!」
ほどほど呆れたような表情でこちらを覗き込むリズに、苦笑いしつつ謝ってから、お詫びのように彼女のカップにおかわりを注ぐ。……リズに心配いらない、といっている癖に、その当の本人が考え込んでどうする。これでは心配するな、という方が無理な話だ。
「まったく……」
悪い癖はいつまでも直らないものだ、と自嘲する。リズのお気に入りの揺り椅子と同じものに揺られながら、客の来ないリズベット武具店を見渡していく。……客の来ないとは言っても売れない訳ではなく、あくまで店自体が休憩時間なだけだ。
「そういえば、さ」
「ん?」
アインクラッドにあったリズベット武具店を、出来るだけ模した店内だったが、やはりというか当然というか水車の音はしない。それに少し寂しい気がしていると、リズが口を開いていた。
「あんたがさっき来なくなるって言った時は、ALO辞めるのかと思ったわよ」
「ああ……」
仮想世界に関わった事情が事情の俺について、冗談めかしてリズが笑う。それを俺も、アイテムストレージから銀色のハンマーを取り出して答えていく。
「せっかくの助手がいなくなっていいのか?」
せっかくレプラコーンに転生したということで、俺はアインクラッド時にも少し上げていた鍛冶スキルを再び伸ばしていた。おかげさまでこの店の手伝いや武器の手入れくらいは出来るようになったが、新たな武器を作り出すことは、この店主様に禁止されていた。正確に言うならば、このリズベット武具店で取り扱える武器ということで、要するにまだ、店売りのレベルには達していなかった。
「分かっててそういうこと言うんじゃないの。……なら、助手らしくまたテストしてあげましょうか?」
リズの分かりやすい挑発に答えると、俺とリズは店から作業場へと移動する。店の隣に設えられた工房は、先程まで作業していたからか多少雑然としていたものの、これからの作業が出来ないほどではない。未だに熱を保っていた炉を確認すると、この前のクエストで入手してきていたインゴットを取り出すと、そのまま炉に向かって放り投げた。
「炉を温め直さなくていいの?」
「ありがたい忠告どうも」
だが無視する。というか、その悪戯めいたようなリズの顔は、明らかに分かってて言っている悪意のこもった忠告だ。俺が炉に投入したインゴットはは寒冷地で手に入れたものであり、その中でもよく溶ける特製を持った素材のため、炉を熱くすると溶けてロストする。
よって炉に入れる時間も短めに。早々とインゴットを炉からヤットコで取り出し、腰くらいの高さの金床へと置くと、いつもの日本刀《銀ノ月》ではなく自作のハンマーを
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