ファントム・バレット-girl's rondo-
第七十七話
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があった、というか。句読点ごとに強調するかのように話し、心なしかハンマーを肩に叩きつける速度が上がった気がするリズは、引きつった表情からいつしか笑顔になっていた。逆に怖いというか怖い。
「約束は守るんじゃなかったっけ?」
「あー、えっと、だな」
ぐうの音も出ない。どうにかしてこの局面を逃れようとしていると、リズが一つ溜め息をつくと緊張を解いた。
「冗談よ、じょーだん。大事な用なんでしょ?」
「あ、ああ」
リズが手に持っていたハンマーを近くにあった机に置くと、どことなくヤケクソ気味に椅子に座り込むと、近くにあったコーヒーを飲み干した。……熱かったようでむせていたが。
「って大丈夫か、リズ」
とりあえず許されたようなので正座を解くと、咳き込んでいたリズの背中をさすっていく。仮想世界でも意味があるかは知らないが。
「けほっけほっ……あー……ごめん。……よくあんた、正座しててそんな動けるわね」
「まあ慣れてるしな」
閑話休題。
「お待たせしましたお嬢様」
「……うっわ、思った以上に似合わなかったわね」
一旦落ち着こうと二人分のコーヒーを入れてくると、リズからストレートな評価を聞かされる。本人もそう思っているから特にダメージはなく、作業場の椅子に座ってとりあえず一服つく。
「……で、その大事な用ってのが何なのかは……教えてくれないのよね」
「菊岡さんの依頼で、あるゲームの調査って話だが……」
リズが聞きたいのは、そんな表面的なことではない。しかしそれ以上のことは、無理やりついて来そうな――というかALOで前例のある――リズには、何も言うことは出来なかった。仮想世界で攻撃されたら現実世界でも死ぬ、という噂のたっている攻撃を受けてくる、などととても言えない。もちろん受ける気も死ぬ気もないが、あくまで可能性の話だ。
「菊岡さんの依頼、ねぇ」
リズは釈然としない表情で首を捻る。ALOでアスナを助け出せたのは、紛れもなく菊岡さんの力も多くあり、遡ってはSAOの時からお世話になってきている人物である……が、微妙にうさんくさい人物であることも確かだった。
「まあ、ただのザ・シード規格の仮想世界の調査だよ。これまでも何回かやったし、大丈夫だ」
「ふーん……ま、いいわよ」
ジト目でこちらを見てくるリズから目を離さないでいると、何とかお許しをもらえたようだった。……お許しをもらえたというより、見逃してもらったというべきか。
「ただし! 帰ってきたら、絶対埋め合わせはしてもらうんだからね」
「了解しました、店主殿」
アスナのことをリズに教えた、ALOの時とは状況が違う。何事もなければそれでいい……などと考えていると、ピンク色
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