暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
ファントム・バレット-girl's rondo-
第七十七話
[2/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
があった、というか。句読点ごとに強調するかのように話し、心なしかハンマーを肩に叩きつける速度が上がった気がするリズは、引きつった表情からいつしか笑顔になっていた。逆に怖いというか怖い。

「約束は守るんじゃなかったっけ?」

「あー、えっと、だな」

 ぐうの音も出ない。どうにかしてこの局面を逃れようとしていると、リズが一つ溜め息をつくと緊張を解いた。

「冗談よ、じょーだん。大事な用なんでしょ?」

「あ、ああ」

 リズが手に持っていたハンマーを近くにあった机に置くと、どことなくヤケクソ気味に椅子に座り込むと、近くにあったコーヒーを飲み干した。……熱かったようでむせていたが。

「って大丈夫か、リズ」

 とりあえず許されたようなので正座を解くと、咳き込んでいたリズの背中をさすっていく。仮想世界でも意味があるかは知らないが。

「けほっけほっ……あー……ごめん。……よくあんた、正座しててそんな動けるわね」

「まあ慣れてるしな」

 閑話休題。

「お待たせしましたお嬢様」

「……うっわ、思った以上に似合わなかったわね」

 一旦落ち着こうと二人分のコーヒーを入れてくると、リズからストレートな評価を聞かされる。本人もそう思っているから特にダメージはなく、作業場の椅子に座ってとりあえず一服つく。

「……で、その大事な用ってのが何なのかは……教えてくれないのよね」

「菊岡さんの依頼で、あるゲームの調査って話だが……」

 リズが聞きたいのは、そんな表面的なことではない。しかしそれ以上のことは、無理やりついて来そうな――というかALOで前例のある――リズには、何も言うことは出来なかった。仮想世界で攻撃されたら現実世界でも死ぬ、という噂のたっている攻撃を受けてくる、などととても言えない。もちろん受ける気も死ぬ気もないが、あくまで可能性の話だ。

「菊岡さんの依頼、ねぇ」

 リズは釈然としない表情で首を捻る。ALOでアスナを助け出せたのは、紛れもなく菊岡さんの力も多くあり、遡ってはSAOの時からお世話になってきている人物である……が、微妙にうさんくさい人物であることも確かだった。

「まあ、ただのザ・シード規格の仮想世界の調査だよ。これまでも何回かやったし、大丈夫だ」

「ふーん……ま、いいわよ」

 ジト目でこちらを見てくるリズから目を離さないでいると、何とかお許しをもらえたようだった。……お許しをもらえたというより、見逃してもらったというべきか。

「ただし! 帰ってきたら、絶対埋め合わせはしてもらうんだからね」

「了解しました、店主殿」

 アスナのことをリズに教えた、ALOの時とは状況が違う。何事もなければそれでいい……などと考えていると、ピンク色
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ