6部分:第六章
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の無残な姿に変えてしまったのであった。これには正直晃も驚きを隠せなかった。
「えっ、もう」
「どうだ、俺の言った通りだろ」
「ああ、その通りだね」
これは素直に認めるしかなかった。
「まさかこんな簡単に」
「これで銃はなくなったな、何はともあれ」
「うん、それじゃ後は」
「住職さんだけだ。いいな」
「勿論」
晃は強い顔で応えた。
「それじゃあ今から行こうか」
「そうだな。用心しとけよ」
それに応じるクロの言葉もこれまでとはうって変わって真剣なものだった。
「住職さんは手強いぜ」
「悪人の脳味噌も。スポーツ選手の脳味噌も食べてるんだよね」
「それだけじゃない。今じゃ生き肝まで食べてる。それで力も半端なものじゃなくなってるんだ」
「鬼みたいだね」
「そう、鬼なんだよ」
クロは言った。
「今の住職さんは鬼さ。だから覚悟していけよ」
「わかったよ、それじゃあ」
既に寺にいる住職さんに従う動物達は皆何処かへ逃げ去ってしまっていた。そして晃の仲間の動物達は寺の本堂を取り囲んでいた。皆警戒し、唸り声さえあげていた。
「あそこに住職さんがいるんだ」
「すっげえ殺気がするだろ」
「そうかな」
「人間にはわからねえか」
クロは晃の素っ気ない返事を聞いて溜息をついた。
「これだけやばそうな気だってのに」
「殺気とかそんなのとは無縁の世界で生きてきたからね」
晃はそんなクロに対してこう言葉を返した。
「そう言われてもわからないよ」
「じゃあ仕方ねえな。とにかくだ」
「うん」
「今動いてるぜ、本堂の中でな」
「いよいよなんだね」
「そうさ、びびってションベンなんてちびるなよ」
「わかってるよ」
夕闇が次第に濃くなろうとしている。晃はその中でクロの言葉に頷いていた。
「怖いのは事実だけれどね」
「来たぜ」
本堂の扉がバリバリと鳴った。
「その鬼のご登場だ」
住職が姿を現わした。髪の毛一本もない頭にボロボロの法衣と袈裟を着ている。そしてその身体はまずでプロレスラーの様であった。
顔も若々しい。そこにいるのは晃が知っている住職さんではなかった。禍々しいまでに妖気を漂わせる一人の魔人であった。それが今晃と動物達の前に姿を現わしたのであった。
「誰かと思うたら」
住職はズシ、ズシという重い足取りで前に出て来た。
「獣達か。それに小童が一人」
口が開き、そこから彷徨の様な言葉が発せられる。その口にある歯はまるで牙の様に鋭く尖ったものになっていた。
「わしに何の用じゃ」
「それはもうわかってる筈です」
晃が住職に対して言った。
「住職さん、貴方を止める為に来ました」
「わしをか」
「そうです、貴方のとんでもない行動と計画を止めさせる為にここまで来ました」
「で
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