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恋姫†袁紹♂伝
第5話
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―。

………
……


袁隗との一件の後、袁紹は一人庭に座り月をぼんやり見ていた。

「ここに居たんですね麗覇様」

「斗詩……」

自身を危険に晒した愚かな主にも関わらず。心配して探しに来たのであろう彼女の優しさに胸が締め付けられる

「すまなかった……」

「何を謝ったんですか?」

「全てだ、斗詩の忠告を聞かず三人で街に向かったこと」

「最終的には私も賛同しました」

「猪々子を連れて行かず二人で事にあたったこと」

「文ちゃんは説明しないと屋台から離れなかったかもしれませんし、見失うかもしれないから一刻の猶予も無かったです」

「……斗詩に危険が迫るまで敵を斬ることが出来なかったこと」

「それは、私も同じです」

「……?」

「私も初めての実戦で人を斬るのに躊躇していました」

私が前に出ていたら斬られていたかもしれませんね―――と、苦笑しながら言葉を続ける。

「優しい麗覇様のことだから私と同じく葛藤していることはわかっていました。そしてそんな様子で戦っている姿をみて怖くなったんです。麗覇様が殺されるかもしれないことに……」

袁紹は斗詩のために、斗詩は袁紹のために、過程は違えど二人が葛藤を捨てた理由は同じだった。

「でも、麗覇様は私が自己嫌悪する必要はないと思ったはずです。なら麗覇様もそうじゃないですか!」

「………」

最後に彼女が声を少し荒げてしまったのは勢いをのせて言ったからであろう、その言葉はどこまでも優しく袁紹を気遣っていた。

「あのー」

「うぉっ!?」

「きゃっ、文ちゃん!?」

そこにいつの間にかやって来た猪々子が顔を出す。

「なんか気まずい雰囲気で出づらかったけど、だまっていられなくなっちゃってさー」

そう言うと彼女は頭を掻きながら二人の近くまで歩み寄る

「二人とも難しく考えすぎでしょ、だってさ二人とも……いや助けた人含めて三人は無事だったんじゃん?なら、今更それまでの事を後悔しつづけても意味が無いって言うかさー、アタイ頭良くないからうまく説明できないけど、次はそうならないように気をつければ良いだけじゃん?」

歯に衣着せぬ物言いであったが、それは確信を突いていた―――。

(そうだ、我がすべき事は自己嫌悪に浸ることではない、此度の一件を糧にして前に進む覚悟を決めることだ。
  そも、先ほど叔母上と『自分を信じる相手の気持ちを踏みにじらない』と約束したばかりではないか!)

袁紹は自分の中から何かの憑き物が落ちる感覚を感した。

「ありがとう、二人とも」

「麗覇様…」

「へへっ」

礼を述べた袁紹の顔から憂いが消えた事を察した二人は、満足そうに笑い


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