第十八話 山田大尉!今度はテニスだ!その三
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「食べられる、飲めること自体に感謝を」
「神仏に対して」
「それを忘れることはでごわす」
西郷は厳かに言った。
「人として誤っているでごわす」
「はい、食べることは尊いこと」
「それをさせてもらっていることは」
「非常にです」
「尊いことです」
二人も西郷の言葉に頷く、それを聞いた店の親父が唸って言った。
「お流石です」
「むっ、店主殿どうされたでごわすか」
「それなんですよ、飲食への感謝」
親父は西郷に感心している声で返した。
「それがないんですよ」
「近頃はでごわすか」
「飲み食い出来ることを当然と思う」
「そのことはでごわすな」
「そうです、そうした考えでいることは」
それこそ、というのだ。
「傲慢ですよね」
「全くでごわす」
「あたしそれは駄目だと思うんですよ」
「口に出来ることへの感謝の気持ちを忘れない」
「流石元老さん達はわかっておられますね」
親父は西郷達にこうも言った。
「いや、あたしもその言葉肝に銘じておきます」
「そうしてくれるでごわすか」
「はい、美味しいものを口に出来ることも」
「満腹になることもでごわす」
「全部本当に神様や仏様のお陰ですね」
「全く以てその通りでごわす」
こう言うのだった。
「店主殿、おいどんも同じ考えでごわす」
「食えること、飲めることにですね」
「感謝でごわす」
こう言いながら食べるのだった、そのうえで。
親父は西郷達の言葉を忘れなかった、そうして西郷が書いてくれた言葉を壁に飾り自らへの戒めとしたのだった。
西郷は舞鶴から京都に帰ってだ、すぐに命じた。
「では、でごわす」
「はい、山田大尉に」
「出陣をですね」
「してもらうでごわす」
源田とハルトマンに言うのだった。
「山田大尉はテニスでごわすな」
「はい、日帝衆きってのテニスの名手です」
「四大会を制覇しています」
全米、全英、全仏、全豪の四大会のだ。日本人初は言うまでもない。
「まさにテニスの天才」
「しかも努力の天才でもあります」
何処かの王子様とはそこが全く違う。
「天性のものに加えて不断の努力」
「それにより己を鍛えてもいます」
「まさにです」
「真の天才です」
努力なくして真の天才ではない、つまり某王子様は真の天才ではないのだ。派手な必殺技や美形というだけで持ち上げては大切なものを見失ってしまう。
「ですから必ずです」
「山田大尉はやってくれます」
「今度こそジャスティスカイザーに勝ちます」
「間違いなく」
「そうでごわすな」
西郷も二人の言葉に頷く。
「では、でごわす」
「はい、山田大尉が出陣し」
「今度こそ日帝衆を倒すでしょう」
二人は西郷に確かな声で応えた、そしてだった。
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