2部分:第二章
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なんだよ」
「人間の言葉を話すけれどね」
「だからそれを除いたら普通の猫なんだよ。それにこれだってあの住職さんに気付かないうちに食わされたんだよ」
「その住職さんだけどさ」
晃は尋ねた。
「どうして君達に脳味噌なんて食べさせたの?それも人間の」
「今言っただろ、力をつける為だよ」
「力を」
「ああ。この場合は知識かな」
猫は言った。
「脳味噌を食べるとな、知識がつくんだよ」
「そうなの」
「俺だって人間の言葉を話せるようになったしな。これが何よりの証拠じゃないか」
「認めたくないけれどね」
「まあまあ。どうも住職さんは色々と知りたがっているんだよ」
「何をだよ」
「知識ってやつをさ」
「そんなの勉強すればすぐにわかるじゃないか」
「ところがそうじゃないのさ」
猫はそれを否定する。
「勉強しても身に着くものなんてさ。たかが知れてるのさ」
「まさか」
晃はそれは信じられなかった。
「何でも勉強すればわかるじゃないか」
「そりゃ学校の勉強はね」
猫はまた言った。
「勉強すればわかるようになるさ。あんなの教科書丸覚えでいいじゃないか」
「簡単に言ってくれるね」
普通位の成績の彼にとってはそう言い返したくなる言葉だった。
「猫が人間の言葉話すのよりはましだろ」
「だからそれは普通有り得ないんだって」
「その有り得ないことを身に着ける為なんだよ」
「その為に脳味噌を?」
「そうさ。住職さんはとにかく何でも知りたがっているんだ」
猫は説明する。
「何でもね。その為には手段を選ばない」
「それで脳味噌を食べるんだね」
「そういうことさ。で、俺達はその実験にされたってわけ」
「本当に知識が身に着くかどうか」
「で、身に着いたと。言葉も話せるし」
「やっとわかったよ」
晃は憮然としながらそれに応えた。
「何で君が話せるのかね」
「御理解頂いたようで」
「最初は化け猫かと思ったよ。どうしてやろうかと」
「おいおい、物騒だなあ」
「当然だろ、それに黒猫だし」
晃は言う。
「あからさまに怪しいじゃないか。それで怪しくないって言えるの?」
「俺はそうは思わないよ」
「君が自分でどう思おうかなんて関係なのの。大事なのは僕や周りがどう思うかてことなんだよ」
「で、俺は怪しいってことだね」
「そうさ。人前で話したら駄目だよ」
「ちぇっ、面白くないなあ」
猫はそれを言われて顔を顰めさせた。
「折角人をからかって楽しんでたのに」
「じゃあ最近街で噂になってたのは」
「そうさ、俺がやったんだ」
胸を張ってこう言った。
「流石にあれは驚いたみたいだぜ」
そして誇らしげに告白する。
「猫がしゃべるなんて思いも寄らなかったらしいからな」
「威張れることか」
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