32話 ≪火のガーディアン≫
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────ぬるいな、[精神体]では所詮その程度か』
次の瞬間、幾つもの剣を象った炎が頭上に出現し広範囲に及んで鋭く降り注ぎ、防ぎようのない火のガーディアンの猛攻に大きくダメージを受けた3人は倒れ伏す。
『つまらん、退屈しのぎにもならんな』
「く……、<レーゼの風>よ……!」
何とか立ち上がったフライヤは清らかな風を巻き起こし、体力を徐々に回復する竜技を使いサラマンダーとマゥスンにもその効果を及ぼす。
「……これしきでやられてりゃ、世話ねぇな」
サラマンダーも立ち上がるが、マゥスンは倒れ伏したままだった。
「 ────! 身体が透けてきておる、精神体の維持がままならぬようじゃ……!」
「ち……、俺が直接"気"を注いで──── 」
『そうはゆかん、その者を不必要な世界に戻すわけにはいかぬからな。────そのまま混沌の淵に眠らせてくれる』
再び頭上から炎剣の雨を降らせようとする火のガーディアン。
「させるかよ……!」
その時、トランス化したサラマンダーの全身が紫の闘気に包まれ、一気に火のガーディアンの懐に入り強烈な秘孔拳を叩き込み、その拳は胴体を貫いた。
『やる……ではないか、キサマ。良いだろう……ここは、引いてやる。だが混沌の輪廻は、止められはしない────キサマ達の成そうとしている事は、矛盾でしかないのだ』
火のガーディアンは石のように硬化していき、遂にはボロボロと崩れ去った。
「サラマンダー、マゥスンが……!」
フライヤの悲痛な声に振り向くと、横たわったマゥスンの存在は今にも消滅しかねないほど全身が透けていた。
────サラマンダーはトランス化したまま強力な<オーラ>をマゥスンに注ぎ込み、何とか存在を留めた。
「 …………!」
「気が、ついたか? 余計な手間、掛けさせるな────」
紫の闘気に包まれていたトランス化は解かれ、サラマンダーは身を屈め抱き締めていたマゥスンをふと手放し仰向けに倒れ込んだ。
「サラマンダー、おぬしこそ大丈夫か……!」
「……"気"を注ぎ過ぎて、自分がヘバッただけだ。心配するな」
案じたフライヤにそう云って上体を起こしたサラマンダーに、存在を取り戻し先に立ち上がっていた赤魔道士マゥスンが手を差しのべる。
「すまない、サラマンダー。……私の為に」
「そういう時は謝るんじゃねぇってのを、誰かに教わらなかったか?」
「 ─────ありがとう」
召喚士の女の子、エーコから教わっていた言葉を口にして、僅かに微笑むマゥスン。
「……では、改めて[猛火の鏡]を台座に置いてみるとしよう」
フライヤが赤い縁取りの鏡を台座に立て掛けると、それまで曇っていた鏡にこれま
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