32話 ≪火のガーディアン≫
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「フライヤは竜騎士で脚力が並じゃないから平気だけど、マゥスンとサラマンダーは縄梯子で降りた方がいいぜ!」
「……俺は後でいい、お前が先に行け」
マゥスンを促すサラマンダー。
「降りる時、気をつけてな? 先にフライヤがいるから、万一の事があっても大丈夫だとは思うけどさ!」
気に掛けてくれるジタンだが、当のマゥスンは躊躇いなく飛空艇から降ろされた縄梯子を伝って下りてゆき、途中強風に煽られるが問題なく降り立って白銀の雪山に赤マント姿が映える。
「……調子、悪くないみたいだな。サラマンダー、二人の事頼むぜ? 特にマゥスン……、エーコとビビから話は聞いけど、無理させないようにな!」
「お前に云われるまでもねぇ」
「へ〜ぇ……、結構気になってるんだな?」
「 ………… 」
ニヤリとしたジタンが気に食わなかったのか、サラマンダーは縄梯子を使わず一気に雪山へ降りて行ったが、その勢いで雪の深みにはまり逞しい胸部まで埋まり込んでしまった。
「ふふ……、何をしておるのじゃサラマンダー?」
「 ───── 」
フライヤは苦笑するが、マゥスンは呆れる訳でもなく一切表情を崩さなかった。
……火の祠の入口らしき空洞を少し進んだ先は、見るからに赤々と熱気を放った鋼鉄の扉に閉ざされていた。
「ふむ……、素手では開けられそうにないの」
「一瞬でぶち抜けば、問題ねぇだろ」
フライヤに云うなりサラマンダーは片手の拳に気を溜めて扉にぶち込み、入口は見事に開かれるがそこから凄まじい熱気が溢れ出て来る。
「何という暑さじゃ……! 奥まで向かうより先に、こちらが参ってしまいそうじゃの」
「弱音吐いてるヒマあったらさっさと行くぜ」
灼熱の暑さに構わずサラマンダーが先行しようとした時、マゥスンが後ろから呼び止めた。
「待て。……ある程度熱を凌ぐ魔法を掛けておいた方がいい」
そう述べたマゥスンは、フライヤとサラマンダーに補助魔法の<バファイ>を掛け、二人はほの赤いヴェールに包まれた。
「有難い、これならば無難に探索できよう」
「……お前自身は、掛けねぇのか」
「 ────自分には必要性を感じない」
「その赤マント自体、熱避けにでもなってるのか? 見てるこっちが暑いくらいだがな」
「………もう一度、魔法を掛けた方がいいか」
気を悪くしたでもなく、再び同じ魔法を掛けるべきか聞いてきたマゥスンにサラマンダーの方がきまりが悪くなる。
「いや、二度手間するな。本気でお前の見た目が暑苦しいとか云った訳じゃねぇぞ」
「サラマンダー、何を弁解しておるのじゃ? ……とにかく、この先何が待ち受けているか判らぬ。慎重に進むとしよう」
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