32話 ≪火のガーディアン≫
[1/5]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
「じゃあエーコとガーネットは、レディファーストで先に行くけど………アナタ、ぜっったい無理しちゃダメだからねっ!」
「他のみんなも、気をつけて……!」
────異世界への鍵の1つ、[水面の鏡]の縁に記された、"我が力は、大地に囲まれし水の底にて守られる"……というイプセンの古城壁画の世界地図に示されていた場所に、飛空艇ヒルダガルデ3号から降り立つ際、小さな召喚士の女の子エーコは赤魔道士マゥスンの置かれた状況を盗み聞きで知った故に念を押しておき、黒髪で気品のある少女ガーネットと共に"水の祠"の攻略に向かった。
「……次のポイントの"火の祠"には、フライヤとサラマンダーに行ってもらうけど、マゥスンはどうする? 無理せず、オレ達がそれぞれの場所で用事を済ますまで飛空艇で待っててくれてもいいんだぜ」
盗賊の少年ジタンの気遣いに、マゥスンは表情ひとつ変えずに答える。
「 ────面倒を掛けるのは承知の上、自らの目で確かめなければならない事がある為、火の祠に同行させて欲しい」
「分かった、君の意志を尊重するよ。フライヤとサラマンダーも、それでいいか?」
「無論じゃ、サポートは任せると良い」
快く承諾してくれる竜騎士のフライヤ。
「……何故俺が、この二人と一緒なんだ」
「何だサラマンダー、不満なのか? "両手に花"のクセに、文句は無しだぜ! それとも何か、エーコかクイナと一緒がよかったのかよ?」
「 ………… 」
逞しい体つきの大男サラマンダーは、ジタンにそれ以上云い返す気にならない。
「ワタシはジタンと行く事になってるアルが、誰とでも構わないアルよ?」
「ボクは、スタイナーのおじちゃんとなら大丈夫………だと思う」
「自分は魔法が使えんので、ビビ殿がいれば心強いというもの!」
ク族のクイナ、黒魔道士の男の子ビビ、中年騎士スタイナーはグループ分けに不満はないらしい。
「……ジタンさん! 次のポイントまで来ましたが、これ以上近づくと危険です! 火山の熱で、エンジンがオーバーヒートしてしまいますよ!?」
警告を呼び掛ける飛空艇の女性操縦士エリン。
「"我が力は、高き山の熱き場所にて守られる"……。火の祠は、雪山に囲まれた活火山にあるわけか……!」
ブリッジの強化ガラス越しに見下ろした白銀の雪山の頂きにぽっかりと紅く煮えたぎる火口が覗き、その山頂付近に祠への入口らしき空洞が認められた。
「ギリギリまで接近したら、縄梯子で降りて祠に向かってくれ!」
「……では、私から行くとしよう」
フライヤは縄梯子を使わずに、多少の高さからでも難なく雪山に降り立ち、その足場には問題ないらしく後の二人に降りて来るよう片手を上げて合図した。
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ