4部分:第四章
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のが勢いよく出る音だった。彼はその音を聴いてだ。すぐに身体をそちらに向けてである。そのうえでそちらに前蹴りを入れた。
「ぐっ!?」
「来たか、やはり」
闇夜の中に異形の姿が見えた。身体は逞しい、朔太郎程の大男でありその身体は牛のものだ。その異形の存在がそこにいた。
それは彼の蹴りを腹に受けて思いきり倒れ込んだ。だがすぐに起き上がってまた彼に襲い掛かって来た。しかしそれもであった。
彼はまた蹴りを放った。だがそれは先程の蹴りとは違っていた。
脚を一旦大きく振り上げてだ。そのうえで下に鉈の如く振り下ろす。そうしてその化け物の脳天に踵から一撃を浴びせたのである。
それで化け物の動きは止まった。闇夜の中にその目が白目を剥くのがわかる。そしてそのうえで鈍い音を立てて沈んだのだった。
「終わったな、まずは」
化け物を倒して次にはだ。女を見る。すると女はその姿を急に消していっていた。それはまるで煙が消えていくようにだ。消えながら苦悶の表情を浮かべていた。
女が消えると赤子も消えていた。彼はこうして自由の身になった。
ここで長老が慌てて出て来て彼のところに来た。そしてそのうえで問うのであった。
「一体何が出て来たのですか!?」
「これだが」
朔太郎はその彼に倒れている化け物を指差して告げた。見ればそれは前のめりに倒れ口から血をふいている。こときれているのは間違いない。
「わかるか」
「牛鬼ですか」
「ふむ、知っているか」
「話には聞いたことがあります」
長老は彼に静かに答えた。
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