第144話 暗殺
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いですか」
燕璃は呆れたように言った。
「お前は知らないのだ。私は知っている。あいつは弓の腕前もかなりのものだ。それにあいつには動機が十分にある」
正宗は一拍置いて喋りだした。
「あいつは私を間違いなく恨んでいる。主君である孫文台をこけにしたことがあるからな。蔡徳珪に唆され私の」
「いい加減にしてください!」
燕璃は声を荒げて正宗に怒鳴った。
「興覇は確かに愛想が悪いですけど根を良い子と思います。正宗様の考え過ぎです。もし、そんなことをして露見すれば、興覇だけじゃなく孫文台と孫仲謀も斬首の憂き目に遭います。興覇はその位理解できる分別はあります」
燕璃は甘寧を擁護した。正宗は燕璃の言葉に沈黙してしまった。
「少々、疑心暗鬼に陥ってしまったようだ。甘興覇のことを疑ってしまいすまない」
「もういいです。ですが、長距離から正確に矢を放つとなると荊州では黄漢升以外にないように思います。私が知らないだけで、他にも無名の弓の名手がいるかもしれませんが何ともいえません。ただ黄漢升は荊州牧の家臣です。蔡徳珪の命令とはいえ王爵にある者を暗殺する命令に大人しく従うものでしょうか? 王爵にある者は漢室の藩屏たる存在。その存在を暗殺する行為は漢室への反逆に等しいです。最悪、主君である荊州牧も連座で破滅しかねません」
その後、正宗と燕璃は二刻(一時間位)かけて森の中を探索して暗殺の実行犯の痕跡を見つけた。
正宗はこの探索により少人数による犯行であると結論づけた。彼は暗殺に使用された矢を全て回収した後、それを暗殺の証拠の品として持ち帰ることにした。
正宗達は一先ず宛城に戻ると一旦別れた。正宗は自室に戻り着衣を整えると泉と合流し、孫権達と合流するため太守の役宅を後にした。燕璃は世話になった人物への挨拶回りを予定していたが、元々の予定を一部変更して宛城内の知り合いだけを訪ねることにしたようだ。
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