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箱庭に流れる旋律
打楽器奏者、抱きしめられる
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 でも、このまま落ち込んでるわけにもいかないんですよね・・・ロロは耳を無理矢理に立たせて、心配してくれた女の子に笑顔を、向けます。勝手に向かって、それなのに彼らを不安にしちゃったら・・・本当に、お兄ちゃんたちに顔向けできません。年はそんなに変わらないですけど、まだプレイヤーとしての経験はない子たちばかりですし・・・ッ!?

「・・・・・・来た」

 あの特徴的な歩く音。間違いなく、近づいてきてます・・・うぅ・・・

「・・・みんな、逃げるよ・・・」

 小さく声をかけると、みんな理解してくれます。そのまま音をたてないように、急いで移動を始めて・・・でも、気付かれました。もう、こっちに向かってます・・・・

「・・・・・・・・・」

 他の手段、ないですよね・・・

「・・・そのまま、まっすぐ走って。そっちに行けば人がいるから」

 一瞬でもいいから、時間を・・・どうにかして、この子たちだけでも。
 幸いにも、子供たちは素直にいうことを聞いてくれました。年下相手なら、ちゃんと喋れるし強くも言えるんですよね・・・せめてお兄ちゃんたちとは、ちゃんと話せるようになりたいなぁ・・・

「そのため・・・にも、ここは乗り越えないと」

 振り返ると、もうそこには何匹かの冬獣夏草が。そして、手元にあるのはタンバリンと多鋭剣が二本。楽器は変えれますけど演奏しても通じませんし、多鋭剣は刺さらないですし・・・あ、もう目の前に触手が。

「・・・逃げ、ましょう」

 それ以外に方法がないです。逃げます。音楽シリーズは希少なギフトですし『音楽はすべての平等である』という考えのおかげで相手の格に関係なく効果を出してくれますけど・・・他の演奏に聞き込んでたら、効果がありません。さらに言うなら、身体能力にも何の影響もありません。
 それでも、一応猫族なので見てからでも、十分に避けられます。・・・多少、ヒヤッとはしますけど。

「・・・剣の、舞」

 それでも体力はそんなになので・・・多鋭剣に乗って、操って動きます。タンバリン一つでも十分な演奏になるのが、音楽シリーズのいいところです・・・。それに、ロロの音楽シリーズもこういう場でも使えるのが助かります。
 一番得意な・・・というよりも思い入れのある楽器はドラム一式ですけど、ロロのギフトは“ドラマー”じゃなくて、“打楽器奏者”だったのも運が良かったです。ジャンルである以上は、打楽器の全てが対象になりますから。・・・動きながらでも、十分に演奏が・・・でき、ます。
 ・・・剣に乗って飛び回りながら、タンバリンを叩いている絵については、もう気にしないことにします。

「・・・このまま、いければ・・・」

 今の数なら、まだ何とかよけきれます。もうしばらくしたら逃げましょう。
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