world war2−『戦というモノ』−
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見えた』。
不可視の斬撃は、何も無い虚空を虚しく切り裂いた。
−−躱された……ッ??
ましろは驚愕する。
天冠が攻撃を仕掛けた事についてではない、その天冠の攻撃を《躱した》『 』に驚愕したのだ。
彼女の攻撃は物理的な物ではない。
認識した物を分断する。
其処に準備や過程は無い。
現れるのは結果のみだ。
つまりは、『躱せる筈が無い』のだ。
だが、実際『 』は躱して見せた。
当の本人である天冠はさして驚く事もせず、流れるように次の動作に移っていた。
腰の鞘から美しい日本刀を抜き放つ。
曇天の隙間から漏れる太陽の光を反射し、美しい輝きを魅せるその刀は、
最初の一瞬以外に、ましろの眼に留まる事は無かった。
破裂するような衝撃音が響き、天冠の姿が消える。
刀から反射された太陽の光の残光だけがその軌道をましろに教え、しかしその速度は本来の一割にも追いつけていない。
『 』の持つ『剣』が大地を裂き、天冠の持つ刀が天を斬る。
衝撃音が、まるで一つの音を機械で引き伸ばしているかのように響き続ける。
間隔が空いていないのだ。
『 』の『斧』を、天冠の刀の柄が受け止める。
天冠の不可視の斬撃を、『 』の『殺気が』弾き飛ばす。
「シィィィィィッ??」
天冠が刀を引き戻し、そして突き込む。
当然のように空気が割れ、直線上の天地が分断された。
だが、『 』には当たらない。
今度は、『 』の『槍』が天冠へと迫り、そしてその右掌に当たり、刺さる事無く止められた。
勢いを総ての筋肉に分散させ、指先に加わる力程度では刺す事すら出来なくなるまで弱めたのだ。
これも勿論、天冠には通じない。
「……少しはやるか」
「……貴方こそ、私と此処まで戦えたのはゼウス殿以来です」
「俺をあの程度の低級な存在と一緒にして貰っては困る……なッ??」
『拒絶』の性質を込めた殺気を放ち、天冠を弾き飛ばす。
拒絶をまともに受ければ身体中が他の原子を拒み、内部から崩壊する筈だが、
それが無いという事は天冠が『拒絶』を斬ったということ。
「……やはり、一筋縄では行かないな」
闇を、創り出す。
大地から。
天空から。
大海から。
総ての自然から、負の感情を具現化する。
闇を、具現化する。
世界の『闇』を、具現化する。
闇は、世界を喰らい始める。
闇は広がり、樹を。土を。草を。水を。風を。
構う事なく喰らっていく。
抗いようの無い絶望が降り注ぎ、天冠の視界を埋め−−
「闇は、もう斬り飽きました」
直後に、切り捨てられた
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