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白い王城のある日の一幕
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立っているのかすら危うい、奇怪な言語。

「空落チ世界ヲ蝕ミ消エル 邪悪ハコノ場デ勝利ニ咽ブ
 41,122,888,888,222───111,114,499,999」

 そして。


 ──堕ちて逝く。

 《白亜宮》の地が崩れ、《主》、アルマ、hackの三柱は高速で落下していく。

 その先にあるのは常軌の世界ではなく、世界の神理に近き場所。

 ある者はそこを、『座』と呼んだ。

「……色が……変わっている?」

 アルマが目を細める。その視線の先にあるのは、白き少年神。否、その表現はいささか的を外れているかもしれない。

 何故ならば、すでにそのローブは、白ではなく黒に染まっていたからである。

 厳密には灰色に近い黒だ。袖などには()()色の装飾が施されている。

 彼の両目は今や七色に染まり、プリズムのように色を変えていた。

「かんけーないですよぅっ!」

 hackの握った刀が、与えられた重圧に軋む。もっとも、砕けることはない。それは単に、次の一撃の圧倒的な威力を示しているに過ぎないから。

「《必殺招来》!!」

 万物の綻びを見つけ、そこを中心に破壊する。それがその一撃。綻びの無い存在など存在しない。hackの与える攻撃は、iのような《不存在存在》にも届く。つまりこの一撃は、あまねく全てを殺せると言うこと──

「……!?」
「あっるぇ――――!?」

 しかしそれは、何故か少年神に通用しない。彼の体に確かに命中したのに、彼を殺せないのだ。

「くふふっ」

 《主》は笑う。

「ここに──セカイノソコにたどり着いたならば、ソコにある法則はひとつだけだよ。それ以外の法は無いわけだ」

 つまり──

「僕を殺したかったら、ここに来る前に殺すことだね。僕の望みを『上書きする』ことは不可能だ。君たちには解るまい──たとえ何れだけの嘘と苦しみに包まれても。何れだけの世界の滅びを見てきたのだとしても。何れだけの解答を持っていようと。何れだけの死を背負っていたとしても。何れだけの死を、与えるのだとしても────」

 この想いは、僕だけのモノ。

「ようこそ、座へ。(I)を塗りつぶしてみせろ」 
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