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白い王城のある日の一幕
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重圧を纏う、ライトアーマーの鎧。傲岸不遜な態度で、ゴブレット片手に足を組む男。その存在自体が一つの『場』に相当する、英雄伝の化身。《略奪王》ユキ。

 四柱目。どこか機械めいた冷たさと、理知的な魂を内包させた人間。骨と皮ばりの体を、白いローブで包んでいる。良く良く見れば、その雰囲気や体つき…三つとなりの世界からけし粒が吹き飛ぶのを察するくらいにわかりづらいが…から、女性であることがわかる。《感情王》ユキ。

 五柱目。哀しそうに歪んだ顔。奇怪な白いフーデッドコートを纏った少年。鋼色の装甲が彼の体を隠している。既に声すら失ったのか。放つ言葉は掠れている。空間を反転させてその場にいる、《悲哀の英雄》ユキこと"i"。

 まぁつまりは、並みの神格ではどいつもこいつも相手にならないどころかそもそも相対すら出来ない化け物ども。そんな存在達が、なぜかこの場所に集って一様に好みの飲み物を飲んでいる。

 この状況を超ざっくり説明すれば、『カヲス』の一言につきる。何がしたいのか。何を考えているのか。さっぱり理解できない奇怪な集い。まさか単純に茶を飲みに来たわけではあるまい。

「まぁ、議論はその辺にしとこう。僕らが持論を持ち出すと文字通り世界が揺れる」

 くふふ、と笑いながら《主》が口を開く。それに対して、略奪王が眉尻をあげて言い放つこと曰く、

「勝ち逃げのつもりだな? (オレ)のワインに恐れをなしたか」

 しかし少年神は余裕を崩さず…何に対する余裕なのかはさっぱりわからないが…答えた。

「くふっ、僕はお酒飲めないからね。悪いけどワインの味は解らないよ」
「ふん。つまらん奴だ」

 興味が失せた、とばかりにそっぽを向く略奪王。この動作一つ一つで多元宇宙の運命が決まると言うのだから笑えない冗談だ。
 
「まぁ、仕方ない。議論をやめよう……まぁ、どうせ世界の決定なんて僕には関係ないがね」

 不適に笑うアルマ。事実彼の力は世界すら欺く。

 そんな奇想天外な空間に、更なる奇想天外が飛び込んでくる。

「はぁーい! お料理完成しましたよぉーっ!」
「出たな既知外(キチガイ)
「その漢字あながち間違いじゃないのが怖いね」

 登場と同時に略奪・感情の両王から罵倒を受けたのは隻眼、スーツにマフラーと、なんとも釣り合いのとれない格好の少女だ。放つ重圧は三柱の『ユキ』達を凌駕する。

 この少女の名をhackという。《悲哀の英雄》を束縛する存在にして、彼による世界の破滅を防ぐ聖女でもある。もっとも、世界破滅を促進させる悪魔でもあるのだが。

「もうっ! ユキさん以外から罵られても嬉しくなんかないんですからぁ」
「そう、言、う、割に、股を濡らしてる、のは、どう言うこと、だ」
「はぁぁぁんっ! ユキ
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