第4話
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―――その日は雲一つ無い晴天だった
袁紹の側近となった顔良と文醜の両名と出会ってから早数ヶ月、あの日から三人は共に勉学や鍛練を行い。常に三人でいることが日常となってきていたある日
「今日は街を散策しようではないか」
「街を…ですか?」
実は袁紹はあまり街を散策したことがない。それもそのはず仮にも『袁家次期当主』なのだから、今まで街に出かける時は沢山の護衛を伴っていたため、一度も満足に見て回った事が無いのだ。
「で、でも私達だけでは危険ではありませんか?」
実力はあるものの彼ら三人はまだ十歳、常識人の斗詩からしたら当たり前の疑問であったが
「大丈夫だって斗詩ぃー、アタイが守ってやるからさ!」
「左様、我等三人の力があれば左程危険はあるまい」
楽観視する猪々子に、めずらしく賛同する袁紹。彼にはこの三人ならば例え百人の賊に囲まれても突破出来る自信があり、実際毎日のように袁隗による地獄の特訓を切り抜けてきた三人にはその実力もあった。
「ほらほら斗詩、はやくしないと飯屋が閉まっちまうよー」
「いや、別に食べ歩きをしにいくわけでは…まぁいいか、で斗詩はまだ心配か?」
「いえ…、大丈夫だと思います。すいません出過ぎたこと言ってしまって」
「別にかまわぬ、我の器は大きい故なフハハハハハ!」
余りにも堂々とした主君と親友の言葉にさすがの斗詩も心配のしすぎだと内心自分を諌めた。
………
……
…
「うわー、相変わらずすごい人だかりだなー」
「これ猪々子はぐれぬようきちんと付いて来ぬか、斗詩足元に気をつけよ」
「は、はい」
街に来た三人は袁紹を先頭にして歩いていた。その間にも二人に気を掛けていたのだが 「あれ?私達が護衛じゃ…」と斗詩が何かに気が付き始めたところで猪々子が屋台を発見し
「麗覇様、あれ絶対おいしいですよ!」
と、今にも涎を垂らさん勢いで詰め寄ってきたため、急遽買い食いすることとなった。
が、中々に好評な屋台のようで長蛇の列が出来ており、「麗覇様、いまこそ袁家の威光を!」と猪々子が冗談なのか本気なのかわからない(おそらく本気)提案をしてきたので軽く小突いた後袁紹達三人はおとなしく列の最後尾に並ぶこととなった。
「うがーっ!全然進まないじゃんか!」
「少しは我慢しなよー」
「だってさー『腹が減っては良い草は出来ない』って言うじゃん?」
「…それを言うなら『戦』だ、大体―――ん?」
会話をしながら列が進むのを待っていると、袁紹の視界の端に気になるものが映った。 それは人ごみにまぎれ女性の口を押さえながら人気の無い路地へ入っていく二人の男の姿
「………」
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