マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
0953話
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ピニャの住んでいる建物に突然現れた男。その男は髪を短く切り揃えており、身体に関してもそれなりに鍛えられているのが分かる。
だが、その顔と雰囲気が全てを台無しにしていた。即ち、無条件で自分が他人の上に立っており、他人が自分の命令を聞いて当然だと思い込んでいるような性格が出ている顔つき。
一言で言えば、傲慢。
そんな人物が姿を現すなり、いきなりピニャに向かって怒鳴りつけたのだが……
そもそも、現在ピニャはこの屋敷にはいない。俺が持ってきた書類を持って、他の貴族を尋ねている筈だ。
……さて、この男をどうするかだが。
そんな風に考えていると、向こうも部屋を見回してピニャがいないのに気が付いたのだろう。どこか拍子抜けしたような表情を浮かべる。
そこまでは良かった。だが、部屋を見回すという事は即ち俺達の顔を見回すという事でもあり。
その中には、マクロス世界において歌と自らの容姿で人々を魅了していたシェリルの姿があった。
そして、傲慢な性格をしている男がシェリルに目を付けるのは当然だろう。
シェリルの方へと無造作に歩き出す男。
当然そうなれば、シェリルの隣にいる俺にも向かって近づいてくるのだが、男はそんなのは全く気にした様子もなく口を開く。
「ほう、お前いい女だな。俺のものになれ」
自分の言葉が絶対だと、断られるとは思ってもいないその一言。
ピニャと似ている顔つきを見れば、この男がどんな人物なのかは大体想像がつく。
ピニャの兄弟は数多くいるが、その中で目の前にいる男の性格や容姿が当て嵌まるのはただ1人。
「ゾルザル・エル・カエサル」
ポツリと呟かれた俺の言葉に、目の前の男、ゾルザルがニヤリとした笑みを浮かべる。
「そうだ。どうやら自らの身の程を弁えているようだな。そうであるのなら、その女を俺に引き渡してとっとと去れ」
確かにこの場にいるのが普通の男であれば、ゾルザルの言葉に従わざるを得ないのだろう。帝国の中で第一王位継承者ともなれば、それだけの権力があるのだから。
だが……ゾルザルにとって唯一にして最大の誤算は、ここにいる俺達が帝国の住人であると勘違いした事だった。
ゾルザルの態度を見てアウルが苛立たしげにしているし、ムウや高畑、スティングも不愉快そうに眉を顰めている。
そして何より、シェリルが嫌悪感しかない目でゾルザルに軽蔑の視線を向けていた。
こいつらが……特にシェリルとアウルが暴発する前に事を収めるとするか。
「さて、シェリル。この国の皇子が誘っているが……どうする?」
「はぁ? 冗談も程々にして頂戴。大体この程度の男があたしに釣り合うと思ってるの? それこそ、ゴブリンの牝でも相手にしているのがちょうどいい程度の男でしょ。いえ、この男を見る限りだと
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ