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転生とらぶる
マブラヴ
ゲート 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり
0953話
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、ゴブリンの牝でも上等すぎるわ」

 俺が予想していたよりも、遙かに辛辣なシェリルの言葉。
 その言葉に、俺だけではなくアウルを含めた他のメンバーや、更にはこの屋敷のメイド、執事といった者達までもが必死に笑いを堪えていた。

「……」

 そして、ゴブリンの牝ですらもお前の相手としては勿体ないと人前で堂々と告げられたゾルザルはといえば、一瞬惚けたような表情を浮かべたものの、次の瞬間には顔を真っ赤に染める。
 まぁ、これまで自分の思い通りにならなかった事はないんだろうし、ここまで盛大に虚仮にされては当然だろう。
 もっとも、だからといってこちらがどうこうするつもりはないが。

「き、貴様……この俺を誰だか知っていてそんな口を利いているのか!」

 怒鳴り声ではなく、地の底から響いてくるような声。
 怒りの沸点を超えすぎたその声は、帝国にいる者なら絶対に聞きたくない声だろう。
 次期皇位継承者の恨みを買いたいと思う者がそもそもいない筈だ。
 だが……
 腰の鞘に収まっている剣の柄に手を伸ばした時点で、俺は座っていた席から立ち上がり、1歩を歩み出したゾルザルの前に立ち塞がる。
 ……正直に言わせて貰えば、シェリルにしてもある程度は自分の身を守る事が出来る程度の実力はある。それに比べてこのゾルザルという男は、多少鍛えてはいるようだがシャドウミラーの基準では弱者と言ってもいい。
 それこそ実働班の中では最弱でもあるスティングやアウルにも劣る程の。
 ただ、国のトップに立つ者が実際に強くなくても構わないというのは事実なんだよな。寧ろ俺のように、国のトップが最強ってのが色々とおかしいんだろう。

「言っておくが、その剣を抜いたらこちらとしても容赦はしないぞ。それでもいいのなら、その剣を抜いて見せろ」

 シェリルを背に隠すようにしながらゾルザルに視線を向け、そう宣言する。
 物事を穏やかに済ませるために告げた内容だったのだが、寧ろゾルザルは挑発と受け止めたらしい。
 シェリルの前に立ち塞がった俺を睨み付け、長剣に手を伸ばし……

「兄上! 何をやっているのですか!」

 俺が行動を起こそうとしたタイミングに差し込むような形で、そんな声が響き渡る。
 そちらに視線を向けると、そこにいたのはピニャ。余程急いで走ってきたのか、息を切らせている。
 にしても、皇女らしい裾の長いドレスを着ているというのに、ここまで走ってきたのか。それも、裾に躓いて転んだりせずに。
 その辺は寧ろ称賛すべきか? そんな風に場違いな事を考えていると、ピニャが部屋の中に入ってきて俺とゾルザルの間に立ち塞がる。
 この構図は何も知らない奴が見れば、ピニャがゾルザルから俺を庇っているように見えるんだろう。……実際は全く逆なんだが。


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