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ソードアート・オンライン 蒼藍の剣閃 The Original Stories
ALO編 Running through to take her back in Alfheim
Chapter-15 紡ぐ未来のその先へ
Story15-5 アスナの元へ
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俺たちは地に足が着くか着かないかぐらいのスピードで疾走していた。
進むにつれて枝に刻まれた小道は細くなり、鳥籠の下部と繋がっていた。
鳥籠の中に見えたのは……一つの大きな植木と、様々な花の鉢がタイル張りの床を彩り、中央に天蓋つきの大きなベッド。傍らに純白の丸テーブルと背の高い椅子。
それに腰掛け、両手をテーブルの上で組み合わせ、何かを祈るような姿勢で頭を垂れる、一人の少女。
まっすぐに流れる長い髪。薄手のワンピース。その背から伸びる、優美な翅。すべてが夕陽に照らされていた。
直感的に、それが誰だか分かった。俺と彼女の間に、磁力にも似た何かがスパークした。
その瞬間、少女が顔を上げた。
純粋な驚きと深い思慕のもたらした涙を表す彼女の顔から視線を逸らさずに、俺はその少女の名前を音にならない声で呼んだ。
「アスナ……」
「ママ……ママ!!」
同時に叫んだユイが俺の手を引いて駆け出す。
小道の終点と繋がっている鳥籠のドアをユイは右手を振り払って吹き飛ばすと、ドアは光の粒子となって消滅した。
「ママーー!!」
ユイがアスナに向かって駆け出していく。アスナも椅子を蹴り飛ばす勢いで立ち上がり、その口から震えてはいるがはっきりとした声が発せられた。
「ユイちゃん!!」
ユイの小さな体がアスナの胸に飛び込んだ。漆黒と栗色の長い髪が宙に揺れた。
俺はそっとアスナに歩み寄り、数歩前で足を止めた。顔を上げたアスナは瞬きをして涙を払い落とし、正面から俺を見た。
俺は動けなかった。手を触れたら、全てが消えてしまいそうな感覚。かつての俺とは何も共通点のないこの姿。
しかし、アスナは俺の名を呼んだ。
「キリト君……」
「アスナ……」
俺は最後の距離を縮め、両手を広げた。胸に抱かれたユイの体ごとアスナの華奢な体を包み込んだ。
「ごめん……遅くなった」
「ううん、信じてた。きっと…………助けに来てくれるって」
それ以上の言葉はいらなかった。俺とアスナは目を閉じると、互いの肩口に顔を埋めた。俺の背にアスナの両手が回され、俺たちの間で、ユイが幸せそうな吐息を洩らした。
ここから……俺たちの物語を始めよう。あの世界は終わり、現実でまた物語を紡ごう。
そのために……
「さぁ、帰ろう。現実世界へ」
Story15-5 END
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