5部分:第五章
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かせることが趣味の彼等にとっては最高の話である。
そしてだ。文衛門はその彼等に対してまた言うのだった。
「そうだな。それにだ」
「それに?」
「どうしたのかな」
「いや、一緒に住んでると何かと楽しいな」
また言うのであった。
「やっぱりな。話し相手にもなるしそっちで仕事をしてくれるしな」
「ああ、そうなんだ」
「そういうこともあるんだ」
「一緒になってはじめて気付いたことだよ。物の怪もいいものだな」
こうも言ったのである。
「いや、飽きないよ」
「そういう旦那だから僕達だって一緒にいるしね」
「大切に使ってもらってたからね」
「なあ。これからも頼むな」
文衛門は笑顔になっている。
「ずっとな」
「うん、お互いにね」
「宜しくね」
筆と硯だけではなかった。他の面々も出て来てだ。そうして文衛門に対して言うのだった。彼はその物の怪達に対しても言った。
「ずっと一緒にいたいものだよ」
「言うねえ、あんたも」
ここでお桂も出て来た。
「最初はびっくりしたってのに」
「それも挨拶のうちだってことだな」
「挨拶なんだね」
「この連中のな。しかし慣れてみればな」
実際に今慣れている。だからこそ言えることだった。
「こんな楽しい連中もないだろ」
「確かにね。それはね」
「だからだよ。これからも宜しくな」
周りにいる面々に笑顔で告げていた。笑顔なのはお桂も同じだった。見れば物の怪達も楽しい顔でいる。これが文衛門の選択だった。幸せになる選択だった。
物の怪 完
2010・5・2
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