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ドリトル先生と二本尻尾の猫
第五幕その五
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「ちゃんとね」
「それだよね」
 ここでジップがお静さんに問うてきました。
「貴女だけじゃなくて日本の長生きした動物ってよく人間の言葉喋るね」
「そのことね」
「やっぱり妖力が備わってから」
「そうよ、長生きしているとね」
「妖力が備わって」
「あとね、ずっと人間と一緒にいるとわかるのよ」
 このこともあるというのです。
「人間の言葉がね」
「それで喋られる様になるんだね」
「今じゃ文字も書けるわよ」
 お静さんは得意げにお話します。
「それが出来るから」
「そうなんだね」
「そうよ、しかもその字もね」
「上手とか?」
「書道五段よ」
 こうも言ったのでした。
「先生だって出来るわよ」
「何で書道までしてるのかな」
 トートーはお静さんにそのことを尋ねました。
「そもそも」
「だってうちはお酒屋さんだから」
「お酒屋さんだと字が上手になるの?」
「書くこともあるのよ、お祝いの言葉とかね」
「だからなんだ」
「そう、書道も勉強して」
 そして、というのです。
「今じゃ五段なのよ」
「伊達に長生きしている訳じゃないんだね」
「そういうことよ」
 トートーに答えたところで、です。お静さんは。
 ふと目の前に虫が飛んでいてです、その瞳を縦に細く糸みたいにさせて。
 頬にお髭も出しました、そうして手を出そうとしますが。
 ホワイティはそれを見てです、チープサイドの家族に言いました。
「何処からどう見てもね」
「うん、猫だね」
「猫よね」
 これがチープサイドの家族の返事でした。
「人間の姿でもね」
「すぐに猫の本質が出て来るね」
「何ていうか」
「習性は隠せないのね」
「目もお髭も」
 ホワイティは右手を猫の前足そのままの動きでしゃっ、しゃっ、と動かして虫を捕まえようとしているお静さんをじっと見ています。
「完全に猫だよ」
「どうしてもこうなるのよ」
 お静さんは虫をお顔を動かして見ながら答えました。
「私達はね」
「猫の習性には逆らえないんだ」
「安心して、あんた達を捕まえたりはしないから」
 このことは約束するのでした。
「私ずっとお魚を食べて来たから」
「鼠は捕まえないんだ」
「お家に来る鼠は昔は捕まえていたけれど」
「昔は?」
「そう、昔はね」
 ホワイティににこにことしてお話するのでした。
「普通の猫だった頃は」
「今は違うんだ」
「何か私に妖力が備わったら自然になのよ」
「鼠が近寄らなくなったんだ」
「そうみたいね、けれど貴方は」
「ああ、僕はね」
 ホワイティ自身はといいますと。
「そういうのは平気みたいだね」
「どうしてかしら」
「ううん、色々先生と回っているうちに色々耐性が出来たのかな」
「貴方も妖力が備わったと
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