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魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
空白期 中学編 20 「金色の姉妹」
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ふたりの頭を軽く叩く。すると見事に同じような反応をした。同じようなリアクションで、容姿も金髪碧眼、口調も似ているのだから姉妹でいいだろうと思った俺はおかしくないはず。

「ケンカするならお前らは帰れ。買い物は俺ひとりで行くから」
「ちょ、ちょっと待ってください。今のはセイが……!」
「なっ――それはあなたのほうでしょう!」

 いや、俺からすればどっちもどっちだからな。
 親しい間柄の人間だってケンカするときはするから、ケンカをするなとは言わない。が、こうして久しぶりに3人で出かけるときにしなくてもいいだろう。

「はぁ……あぁ分かった、じゃあ俺が帰るからお前らだけで行って来い。付き合いきれん」

 そのようにげんなりしながら言ってみると、ファラ達の顔色が変わる。おそらくこのままふたりきりになるよりは、我慢したほうが良いのではないか? と、ふたりとも考えているのだろう。ならばあと一息で問題は解決するはずだ。

「ほら、どうするんだ?」
「……まあ私のほうが年上ですし、このようなことでいつまでも口論するのは無意味ですからね。今のことは水に流しましょう」
「今の物言いには思うところがありますが、この人はファラですからね。私も水に流すことにします」

 目の前にいるファラとセイは、引き攣った顔で笑っているのだが……まあ落ち着いたのだから触れないでおくことにしよう。
 というか、こうして見ると本当に人間らしくなったよな。リインにはこういう表情はまだ無理なんじゃないだろうか。性格的にこんな表情を浮かべるようにも思えなくはあるが……。

「よし、なら3人で行こう。分かってるだろうが、またケンカしたときは俺はお前らを置いて帰るからな。ケンカの度合いによっては家にも入れない」
「そ、それはあんまりでは……」
「お前らはもう子供じゃないだろ。リインの姉として振る舞っているし、自分達の意思でシュテル達の手伝いだってしてるんだから。だから俺も甘やかしたりしない」
「……分かりました」
「やれやれ、テストで会っていた割にはセイは甘えん坊ですね」
「なっ……あなただって似たようなものでしょう。それにさすがはシュテルの手伝いをしているだけあって、性格もずいぶんと似てきたようですね」

 言った傍からこいつらは……人間らしくなったことは技術者の目からすれば良いことであり、喜ばしいことなのだろう。だが実際に相手をするとなると面倒臭さがあるな。ケンカの仲裁なんて経験がないし。
 見上げた空は雲ひとつない状態だというのに俺の心は曇り空だ。このふたりが今後どうなっていくのか、俺には全く検討がつかない。だがそれが楽しみにも思え、その一方で不安でもある。

「まあ……なるようにしかならないか」



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