『終末戦争』−The end of ragnarok−
world war1−『降臨せし刀神』−
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の状態はましろも把握していない為、生成のしようが無いのだ。
貫手は、ましろの髪を数本千切りながらも当たる事はなく、闇はすぐにましろのクローに引き裂かれ、消えた。
一つ安堵の溜息を吐き、再び進行方向へと向き直る。
視線の先に佇むは−−Parthen?nと呼ばれる神殿。人間が世界遺産などと言っているが、別にそれは関係無い。
重要なのは、其処が神を崇める場所だという事。つまり、その神殿自体が、強い神気を帯びているという事。
本来、其処はギリシア神話の女神、アテネを祀る神殿ではあるが、神気があるのなら問題無い。『開く』には十分だ。
一気に跳び、神殿の入り口へと立つ。
中は大して広くは無い。少し歩けば、直ぐに中央に到達した。
パルテノン神殿は、黄金比に基づいて建造されている。
そういえば昔、この黄金比を戦闘に使うとかいうバトルマンガがあったなぁとどうでも良い思考に浸りながら、ましろはその右手を天に掲げた。
同時に、ましろの視界の端で、闇が蠢いた。
「ッ……??まさか、もう来たというの??」
パルテノン神殿は、中から外まで吹き抜けだ。吹き抜けの先の地平線がくっきりと見える。
その地平線上に、闇が迫っていた。しかも、途轍もなく巨大。
あれが来れば、幾らましろとはいえ対処出来ない。だからと言って此処を落とされれば、かの《神》を誘えない。
直ぐに務めを果たすしか無いと判断したましろは、もう一度クローを構え直した。
自分の中の全ての異能。そしてルークから預かった異能の総てをクローに__いや、正確には、《ストライクディメンション》に回す。
次元を貫く一撃を、徹底的に強化する。
あの《神》がいる世界と、この世界の間を阻む《次元》を、この一撃で打ち壊すのだ。
《次元》の数は膨大だ。幾重にも及ぶ次元が、この世界への道を閉ざしている。
ならば、貫くしか無い。
この一撃で、道を開くのだ。
失敗すれば終わり。ルークの計画は崩壊し、ましろも死に、世界は滅ぶ。
すぐ近くには、もう闇が迫っている。その速度はもう桁外れにも程がある。
貫け。それだけを考えろ。雑念を混じらせるな。細く。強く。一点に−−
「『ストライクディメンション』……Lv.10??」
時空が、割れた。
空間に大穴が開き、その先の次元すら突き破る。
その先、その先、その先へと−−
闇が一層、その速さを高めた。
もう神殿のすぐ表に到達した。後はましろに襲いかかり、その全身を喰い尽くすのみ。
次元は壊れ続けている。一撃は未だ衰える事なく、突き進んでいく。
闇が迫る。
次元が砕ける。
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