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第一章
創られたもの
今彼はだ。妻と話していた。
「なあ」
「どうしたの?急に」
「次の新作な」
「決まったの」
「ああ、決まった」
こう妻に返す。彼は童話作家である。文章は彼が書いてだ。そして妻がイラストを描く。夫婦二人三脚で仕事をしてきているのだ。
その夫がだ。こう妻に言ったのである。
「今度は幽霊だ」
「あら、童話に?」
「そう、幽霊なんだ」
また妻に話した。
「コミカルで楽しいな。そんな幽霊なんだ」
「じゃあ日本のうらめしや〜〜じゃなくて」
「もっと他の。外見はな」
「どんな感じ?」
イラストを担当する妻にとっては絶対に確認しておきたいことだった。だからだった。その外見についてはすぐに問い返したのであった。
「それで」
「まずはな。白くてな」
「ええ、色は白ね」
「で、頭に三角のあれがあってな」
「幽霊のそれね」
「そう、それでな」
夫はさらに話していく。
「足はないんだ」
「幽霊そのままね」
「で、手だけがあって」
夫はここで両手をだらんとしてみせる。そのうえで曲げている。その姿勢こそは。
「こんな感じでな」
「あら、幽霊そのままじゃない」
「手はこうしてな」
「わかったわ。手足はそんなのね」
「それで目は丸くしよう」
目についても話す。
「顔は扁平な感じでな」
「そうするのね」
「口は一文字でべろんと舌を出してる」
口と舌まで話す。
「全体的に太くて短くてずんぐりとしていてな」
「ふん、それで?」
「首はない。髪の毛もない」
そこまで話す。
「そんな外見だな」
「で、性格はコミカルね」
「そっちは俺が書くから」
文章担当の彼のものだというのだった。
「それでやるから」
「外見はわかったわ。じゃあね」
「それで行くか」
「了解、じゃあ文章御願いね」
「イラスト頼むな」
夫婦でこう話してから作業に入った。そのうえでできた作品は。
「ああ、イメージ通りだ」
「ええ、こっちもよ」
夫は妻のイラストを、妻は夫の文章を見てだ。互いに笑顔になって話す。
「その感じだったらな」
「いけるわよね」
「ヒットするかどうかはわからないけれどな」
「それでもね。いい仕事できたわよね」
「ああ、確かにな」
こう話してだった。二人はその仕事を世に送り出したのであった。その反響は。
そのユーモラスで可愛らしい外見とコミカルなキャラクターでだ。二人が創った幽霊は人気キャラとなった。所謂ハローキティやのんたんと同じようにだ。子供達だけでなく大人からも愛される。そんなキャラクターになったのだった。
ぬいぐるみもできればグッズもできた。そのうえで皆から愛される。夫婦には版権か
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