閑話―袁隗視点―
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…」
立ち上がり顔や服についた埃を叩きながら笑い続ける袁隗を憎らしそうに睨む袁紹であったが、袁隗には悪気はなかった
というのも袁隗は今まで何でも出来る袁紹に舌を巻きつつもどこか恐ろしいと思っていたからだ。 言うまでもないが袁隗は優秀な人物である。だがその優秀さ故に袁紹の傑出した才の異常性には敏感に反応していた。
高い知力を示してきた袁紹が武も最上なのかも―――と、期待しつつもどこかそれを恐れていた…が、初めての素振りで
顔面から豪快に倒れた袁紹を見て、今までいだいていたわずかな恐れは杞憂だった――、それがわかって嬉しくなりたまらず大笑いしてしまったのだ。
―――しかし袁隗のそんな胸中は袁紹にはわかるはずもなく、大いに傷ついていた。彼からしてみれば敬愛する叔母に
いいところを見せようとした結果、顔面ダイブしてしまいそれを笑われたのだ。
「うぬぅ…」
たまらず呻いてしまったが袁紹は恥を一旦忘れ先ほどの失敗を振り帰る。
(我の今の筋力ではとても片手では振ることは出来ぬ…、両の手でしっかり持ち剣先に重心が持っていかれぬよう足を…
ってこれ思いっきりあの構えだ、―――良しこれなら!)
「っ!?」
袁隗は袁紹の構えを見て息をのんだ、見たことの無いその構えは袁隗に未来の知識があれば『剣道』といわれる競技の 構えだとわかっただろうが もちろんそんな事わかるはずもなく正眼に構えた袁紹を見て
(す、隙が無い まるで緻密に隙を消していった結果これにいたったような構え…、この短時間でこの構えを編み出したっていうの!?)
絶賛勘違い中だった
「ふっ、はっ、ふっ」
そして袁紹はそのまま素振りを始めた…が
(あまりに完成された構えを見てもしかしたらっておもったけど振りの鋭さは普通ね…どちらかというと粗末な方、でも
さっき構えた時に感じた隙の無さ、この子に武の才があるのは間違いないわ… まいったわねまさか知の才だけでなく 武の方も金剛石の原石だなんて―――、はぁしょうがないわね、この原石を泥土の中に埋もれさせるわけにはいかないわ
初日だから軽く済ませようと思っていたけど予定変更、最初から全力よ!)
「むっ、何か寒気が…」
素振りで体が温まっていたはずなのに寒気を感じた袁紹には叔母の顔が満面の笑みになっているのに気づくことなくそのまま素振りを続けていた。
その後から、地獄の日々が始まり―――その初日に袁逢の春本が巻き込まれたのだった。
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