閑話―袁隗視点―
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「逃げられてしまいましたか、しかたありませんねぇ…では袁紹様中に入って準備したのち始めましょうか」
私の様子に何か感づいたのか、袁紹は顔を引きつらせながら引きずられるように訓練所へと入っていった
「では袁紹様、訓練用の武器があちらにありますので使いたい習いたい物を持ってきて下さい」
「伯母上、着替えなどはしないのですか?」
現在袁紹は普段着、ひらひらとした高級服を身にまとっているがお世辞にも動きやすい格好ではない、そのためその
疑問は当然のものであったが―――
「はい、武の鍛練は基本普段着や私服で行っていただきます。理由としてですがまず袁紹様は戦場に出ることはあっても直接戦闘に参加しない総大将だからです。さて、ではどういった時にこの鍛練が役に立つと思いますか?」
質問に質問で返す形となってしまったものの、袁紹は腕を組み目を閉じ少し間をおいたあと口を開いた
「屋敷内では暗殺者、街では犯罪者、さらに他の地域への移動中に現れる賊などとの突発的な―――伯母上?」
「っ!? え、ええあっています流石袁紹様」
齢五才の袁紹の理解力の高さに改めて舌を巻きつつ「無論、そのような事態には護衛の方達がさせませんが」と補足した
「さすが伯母上、感服しましたぞ!」
こっちが感服したわよっ!と心の中でツッコミつつ武器置き場の方に歩いていく袁紹を目で追いかける。
その先には剣を始めとして槍、矛、大斧といったものからおよそ人には振り回せそうに無い大剣や大槌などもあるが―
袁紹は特に迷う素振りもみせず。剣を手にして戻ってきた
「あら?剣にするなんて派手好きな袁紹様には珍しく無難な選択ですね。理由を聞いても?」
「なに、突発的な戦闘には取出しや持ち運びが簡単で小回りの利くものをと思ったのです。それに―――」
「それに?」
「ティン!ときたのですっっ剣を見たとき!」
「え、てぃ、ティン?なにそ「忘れてくだされ」………わ、わかりました。では実際少し振ってみてください」
実は袁隗はこの瞬間を楽しみにしていた。五才にして大人顔負けの知識と洞察力を持つ甥の袁紹、もしかしたら武才も
そうとう高いのでは?と常々思っていたからだ。
袁隗の言葉に「わかりました!」と元気良く返事した袁紹は、片手で構えゆっくりと剣を頭上に上げ――
(あら、なかなか様に――)
そして縦に振り落とし――
「ふっ、おわぁっ!?」
――たものの剣先に重心をもっていかれ、前方に顔から倒れた
「………」
「………」
二人の間に短い沈黙が流れ
「…プッ、フフフッアハハハハハハハ!!」
袁隗の大笑いによってその沈黙は破られた
「ひどいですぞぉ伯母上ぇ
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