31:一生後悔するよりも
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
うか、こういうシステム関係の事をあんたから訊かれるなんて珍しいわね。それがどうかしたの?」
「いや……」
考えろ。
今の現象を忘れるな。それを踏まえてよく考えろ。
SAOでは、レベルアップと同時にHPが全回復するという特典は無い。他のMMORPGでは全回復システムが存在する場合もよくあるが、このゲームではレベルアップ時に負っていたダメージはそのままだ。
レベルアップによるHP最大値の上昇。それによる割合の減少。それはつまり、ダメージを負って空白だった分の値に、レベルアップで増えた最大値分が、さらに加算される……ということだ。
分かりやすく、実際に数字で書くとこうなる。
例えば、現HPが【600/1000】のプレイヤーが居たとする。このプレイヤーがレベルアップし、最大HP値が上昇して【600/1200】になったと仮定しよう。すると残りHPの割合は6割から5割となり、ダメージを追わずともイエロー域に突入することになるという訳だ。
これが、今回シリカのHPが注意域に変化した原因だ。
――そうだ、これだ。
考えろ、考えろ、桐ヶ谷和人。
これが……《大鎌》の正体のカギの一つだ。
その一つのカギをもとに、同時に《死神》も誰か、考えるんだ……。
――バグや呪いとさえ言われている謎のスキル。
――習得者の怪死。
――ステータス上昇とHP回復。
――その効果と代償。
――HP最大値の上昇と、その割合の減少。
――4人の容疑者。
――ハーライン。デイド。ユミル。マーブル。
――容疑者らの、これまでの全ての行動、言動、仕草、表情。
――彼らが俺達に見せてくれた、ありとあらゆる情報。
――レベル、装備、能力構成、所持アイテム、経歴、性格。
――《大鎌》。
――――――《死神》。
「――――あ」
俺は喘いだ。低くひび割れた声が漏れる。
「ああ、あああ……そうか、そういうことなのかっ……?」
伏せた頭を抱え、左右に振る。
「……なんで俺はもっと早く気付かなかったんだっ……! どうして、こんなっ……」
「ど、どうしたのキリト君っ?」
回復を終えたアスナ達が駆け寄ってくる。
「…………みんなっ」
やや頭痛の残る、重くなった頭を上げる。奥歯を強く噛んで、気を引き締めなおす。
「……俺は、今から転移結晶で《アルゲード》に戻る」
「え、ええっ!?」
真っ先に驚いたのはリズベットだ。シリカも目を丸くしている。
「ど、どうしたのよ、いきなりっ……」
「今
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ