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リリなのinボクらの太陽サーガ
手術
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て育った彼は、ここにいる誰よりもヒトの可能性を信じ、ヒトの未来を案じ、ヒトに愛を注いでいる。彼の心に触れた者は皆、自分の姿を見つめ直している。そして思うんだ。彼に恥じない姿になりたい、誇りある生き方をしたいって……。だから……僕はもう彼女達を恨んでいない」

そして一つの争いは消えて、イモータルが介入できる余地は無くなっていく。クロノもなのはも、きっと俺の手の届かない高さまで飛んで、色んな人に光を与えられる存在になれる。それは俺には出来ない、彼女達だけの力だ。

「私も……もっと頑張らないとなの。フェイトちゃんは嘱託魔導師という資格を取るつもりだから……私だって!」

クロノの隣で握り拳を作り、なのはは自分の心に気合を入れていた。彼女もまた、飛び立つ時が近いのかもしれない。家族の愛を取り戻して、救われる事を知った彼女は、今度は自分が誰かの太陽となれるように羽ばたくのだろう……。

「ふふ……予想通りに生徒が一人追加されるみたいですね」

「何の生徒か知らんが、まあ大丈夫か。それでエレン……もうわかるだろうが、あそこにいるのが湖の騎士シャマル。マキナの手術を行う医者だ」

「ああ、彼女が……」

「そうだ。だから彼女にもさっきの検査のデータを渡してくれないか」

「承知しています。先程画像とレポートが送られて来たので、早速彼女を呼んで相談するとしましょう」

そうしてエレンはシャマルを呼びに行った。その時、ネロがか細い声でこんな事を言ってきた。

「に、兄様……もう離しても大丈夫なのだが……」

「あ、さっきから支えたままだったな。すまない」

「いえ、むしろ役と―――い、いや、何でもないです……」

「……」

なんか頬を赤らめているネロだが、そこまで体力を消耗していたのか? 考えてみれば彼女は魔法の術式を全て失っている訳だから、戦闘力はまだ皆無だ。その分だけ体力にも影響が出ているのかもしれない……。







「うわ、嘘でしょ。これはまた……とんでもない場所に埋め込まれているようね、SEEDは」

シャマルがエレンに見せてもらった、マキナの検査データを読み漁るとこんな事を呟いていた。どういう事か尋ねると、エレンが簡潔にまとめて説明してくれた。

「心臓の近くにSEEDがあるのは皆さんご存知でしょうが、その明確な位置が検査で判明しました。それによると……場所は大動脈。最大の動脈で、全身に血液を送り出す動脈の本幹です。ここがほんの僅かでも傷つけば、たちまち内臓破裂で大量の内出血を起こし、瞬く間に死に至ります」

元々心臓の手術は医術の中でも特に精密さを極める部位なのだが、そのまた更に厳しい場所という事らしい。SEEDの特性を考えると、全身に血液を送る大動脈に取りつけるのは合
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