手術
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切言葉を交わさず、ただひたすら手術の成功を祈っていた。ラジエルの医療スタッフがシャマルのサポートをしてくれているから、エレンの部下という事で信用出来る。シャマルの技術も俺は信じている。絶対に成功すると、俺は確信している。
それでも……俺達は内心落ち着く事が出来なかった。小学生組は全員ソワソワしていて、騎士達は無言だったがよく見ると手に汗を握っていた。リンディやクロノは何かの報告書を読んだり書いたりしていたが、医療室の方を度々見つめていたため、全く進んでいなかった。途中で合流したサルタナにはエレンが事のあらましなどを全て説明していて、それが終わると二人は俺の隣に座ってきた。
「アレクトロ社の強制査察の進展状況だが、管理外世界の人間は全員救出。違法研究の証拠やイエガーとハウスマンの癒着による資金の流れ、他の世界にいる違法組織との繋がりが徐々に明確になってきている。この手術が終わる頃には、ガサ入れも全て終わってるだろう」
「そうか……」
「それと、リーゼ姉妹とグレアム提督からおまえに伝言だ。『全部終わったら、祝賀会でも開こう』だと」
「それはいいな……」
「闇の書の事は俺も把握した、裁判は俺達に任せろ。モノがモノだから流石に無罪は不可能だが、限界まで減刑して見せる。大体テスタロッサ家の裁判と同じくらいの判決まで押し戻してやるさ」
「色んな意味ですごいな……」
「ついでにおまえのバイクや奪ってきたシャトルは、おまえの所有物として正式に登録した。これで盗難の心配は無くなるはずだ」
「至れり尽くせりだな……」
「なに、おまえの苦労と比べれば大した事は無い」
そうやって言葉は少ないが、俺とサルタナは互いの健闘を称え合った。この一日だけで俺達は困難な任務をやり遂げ、皆の幸せを掴み取ったのだ。時間の長さだけでは作られない、戦友の絆というものが俺達の間には構築されていた。
そして……気づけばいつの間にか4時間もかかり、とうとう『手術中』のライトが消灯した。大手術を終えたシャマルが出て来ると、疲労困ぱいと言った様子で、しかしやり遂げた良い笑顔でこう言ってきた。
「摘出手術は無事に成功したわ。しばらく安静にする必要があるけど、これでマキナちゃんが犠牲になる事は、もう無いわ……!」
「そうか……!」
俺やサルタナ達大人組はシャマルの健闘を称えて感謝の言葉を送り、喜びを素直に示した。
あまりの長時間手術で小学生組は眠気に耐え切れずに寝てしまっていたが、俺達が少し騒いだ事で彼女達も起きてしまった。だが手術の成功を知ると、彼女達は飛び起きて感情を露わに喜んでくれた。
こうして……俺の初めてのミッドチルダ渡航から広がった事件は、ひとまずの終着を迎えた。まだまだやる事は残っているが、俺達は……未来に生
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