手術
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理的なのかもしれないが、いざ取り外す状況となるとこれほど厄介な場所は無い。
シャマルもこの一世一代の手術には並々ならぬ気合が入っているため、とんでもない集中力でカルテやデータを読み通していた。手術を手伝えないはやて達は、彼女の集中を乱さないように、それぞれ別の場所で待機していた。そして俺はマキナと共に、ラジエルの窓から次元空間を見渡していた。本局の明かりがあるから、この辺りは少し面白い光景が見えていた。光がすぐ傍にあるのに対し、ある程度先からは一寸の光も見えない闇の光景。それらはまるで、ヒトの持つ光と闇の関係のように思えて来た。
「なあマキナ……“真の平和”とは何だと思う?」
「………」
「全てを管理下に置いて統治するのが正解か? それぞれの人間が心のままに生きていけるのが正解か? 戦いが無くなるのが正解か? 恐怖の無い生活が正解か?」
『ムズカシイ、ワカラナイ』
「そうだな、俺もこんな問いに明確な答えが出るとは思っていないし、俺自身の答えも見つかっていない。だけどたった一つだけ、間違っていないと言える言葉がある」
『ソレハ?』
「“大切な奴らが笑顔でいること”……口に出して言うのは恥ずかしかったが、今の俺が戦う理由は、多分そこに集約しているんだと思う。俺一人が何かした所で“真の平和”なぞ掴める訳が無いのは十分理解している。だからこそ、それを掴める可能性がある奴らには生きてもらいたいんだ。……マキナも、ちゃんと生きてくれよ」
『ウン……。ソレト、ワタシハ、アナタガ、タイセツ』
「フッ……それは嬉しいな。そう言ってくれるのはありがたいが、おまえ何気に俺やエレンと同い年なんだからな? その言葉はもう少し大事にとっておけ」
そうやってポンポンと彼女の頭をなでると、マキナは目を閉じてされるがままになっていた。マキナがこの先どう生きるのか、それを決めるのは彼女だ。出来る事ならもう戦いから離れて欲しいが……選択肢に俺の意見を押し付けるのは無粋だ。せっかく自由を手に入れたんだから、もっと心のままに生きて欲しいものだな。
……ん? 何か最近似たような言葉を送った子がいたような……ま、いいか。
そして手術の準備が出来たとの艦内放送が入り、マキナを連れて医療室の前に行くと、そこでははやて達全員が集まってマキナを見守っていた。
「手術予定時間はかなりの長さが想定されるけど、ちゃんと耐えられる?」
「(コクリ)」
「……私達は昔、あなたの家族を奪って、あなたの人生を狂わせてしまった。だから……今度こそ先代主の願いだった、娘の健やかな成長と幸せを叶えて見せるわ!」
そしてシャマルと共にマキナは医療室に入っていき、『手術中』の赤いライトが点灯する。これだけの人数が集まっているのに、俺達は一
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