■■SAO編 主人公:マルバ■■
ありふれた冒険譚◆冒険の始まり
第七話 新たな仲間
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にはならずにすんでいるが、マントの耐久値は高くない上にマントという設定上軽鎧の上に装備することになるから耐久値の減少が思ったより速い。早く目的のインゴットを見つけて帰りたいところだが……
視界に狐の姿のモンスターが映る。
「はぁ、またかぁ……」
マルバは独りつぶやき、腰のナイフを抜く。このあたりはモンスターも寒いのがいやなのかポップする頻度はあまり高くないのだが、代わりに出現する敵はみんな固くて強い厄介なやつばかりなのだ。
ポーションはたくさん持ってきているから大丈夫だけれど……
剣を低めに構える。エンカウントまであと十秒ほど。ポーチから投げナイフを取り出すとそれも構えて、いつもの戦闘態勢になる。敵のカーソルの下の種族名は《A Quick Brown Fox》と読める。ふざけた名前だ、とマルバはつぶやいた。
あと五秒……といったところで敵の近づき方に違和感を覚えた。まっすぐ走ってくるのではなく、マルバよりすこし左を目指しているように見える。
あと三秒。マルバは違和感の原因に気づいた。狐がターゲッティングしているのはマルバではない。狐のすぐ前に空間が歪むようにしてもう一匹の敵が出現した。あの現れ方は、マルバも次にスキルスロット最大数が増えた時に習得しようと考えていたスキルの隠蔽が破られた時のエフェクトだ。第三層にはハイディングを行う敵はかなり少なく、小動物系の敵のごく一部のみだ。
今回もその例にもれず、狐の前を必死で走るのはハイディングしていなくても雪原に溶けこんでかなり見えにくいモンスター、《Snow Hare》。ドロップするA級食材はかなり高価に取引される、準レアモンスターだ。ハイディングスキルを看破できるほど高レベルの《索敵》スキルを持っていなければ通常はエンカウントすらできない非交戦的モンスターで、マルバはこれまで見たことがなかった。
本来狐はこのウサギに勝てるほど速く走れないのだが、ウサギは狐の奇襲を受けたらしくHPがレッドゲージになっている。あと一撃を食らったらHP全損だ。SAOのモンスターAIはそれなりに高性能で、モンスターにも生存本能らしいものが搭載されている。HPが低くなると戦闘から逃げ出そうとする本能だ。ウサギは全力で逃げるあまりマルバの存在に気づくのに遅れた。すぐ近くに立つもう一人の捕食者にウサギは完全にパニックに陥った。マルバの前を横切って両方の敵から逃れようとする。
マルバは弱い者いじめが嫌いだ。もともと普通の生活を脱したいと考えていたマルバは正義にあこがれていて、強いものが弱いものを傷つけようとするのを見逃すことなどできない。狐がウサギを追うのは単に生き延びるための食料を必要を得るため(あるいはシステムがそれを忠実に模倣しようとしたため)なのだが、マルバの目には強
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