第三章
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「遠慮はいらない」
「遠慮するわ」
「どうしてだい?魔物を払うには聖書がいいじゃないか」
「魔物って大袈裟よ」
「大袈裟じゃない、劇場には何かいるものだよ」
「いてもね」
「他にはこうしたものも貸そう」
今度はケルトのお守りとだ、ルーン文字の護符も出して来た。そして銀の竪琴のブローチも出して言うのだった。
「この三つを」
「竪琴?」
「オルフェウスの竪琴だよ」
「ギリシア神話の」
「こういったものも君を護ってくれるから」
こう言って差し出したのだ、この三つも。
「特にオルフェウスの竪琴は」
「何かもう何でもなのね」
「特に今日は椿姫じゃないか」
ジョアンは演目のことにも言及した。
「ヴェルディの代表作の一つ、そしてヒロインが中心となる」
「知ってるけれど、そのことも」
自分が歌うからという以前にだ、椿姫は歌劇において非常に有名な作品の一つであり上演回数も多いからだ。ソフィアもよく教えられているのだ。
「もうね」
「いやいや、それでもだよ」
「ヒロインが中心だから」
「こういったものは持っていてくれ、そして」
さらに言うジョアンだった、今度言うことはというと。
「栄養は大丈夫かい?」
「お昼御飯?」
「椿姫はヒロインが常に出て歌う、技巧も必要だし体力もかなり使う」
それ故にというのだ。
「だから食事はしっかり摂るべきだ」
「これから劇場の中で食べるつもりだけれど」
「いや、ここはいいお店に行こう」
「いいお店?」
「よく我が国の料理はまずいというが」
このことは世界中で言われている、とかくイギリスは食事がよくないとだ。ジョアン自身気にしていることだ。
「しかし僕はいいお店を知っている」
「いいお店って」
「歌劇にはエネルギーが必要だ、そしてすぐにエネルギーになるのは炭水化物」
栄養学の知識も出すのだった。
「ビタミン等他の栄養も考えないといけない、そこから出される答えは」
「サンドイッチとか?」
「違う、パスタだよ」
ジョアンが出した料理はこれだった。
「丁渡イタリアオペラだしその意味でもいいだろう」
「パスタね」
「そこに行こう、ただワインはよくない」
例えパスタを食べたとしてもというのだ。
「それは上演後だ」
「お酒が入るとよくないから」
「そう、アルコールは仕事中にはよくないから」
これはジョアンの考えだ、欧州では朝からアルコール類を結構口にするが彼は仕事後でないと飲まない主義なのだ。
「そうしよう」
「いや、何かいつもだけれど」
「いつも?」
「今もね、全部ジョアンが決めていない?」
首を傾げさせてだ、ソフィアはジョアンに言うのだった。
「そこまでしてくれなくていいわよ」
「じゃあ聖書は」
「いいわ、お守りとかも
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