第三章
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「それでだね」
「生きろよ」
「かなりの人が西に行ったけれどね」
「行きたい奴は行けばいい」
実に素っ気なくだ、ロバートはリチャードに言った。
「しかし残るのならな」
「畑を耕して」
「それで儲けろ、わかったな」
「儲けるにしてもどっちがいいのかな」
リチャードはロバートの話を聞いてふとこんなことを言った。
「ここに残るのか西部に行くのか」
「西で金を手に入れるとか」
「もう相当お金持ちになれるっていうけれど」
「金だからな」
「だから皆行くんだよね」
西に西にだ、それはまさにゴールドラッシュだった。リチャードも人が少なくなりその分だけ多くなった畑のことを思い言うのだった。
「西に」
「その通りだ」
「果たしてどっちがいいかな」
「それはわからないな」
これがロバートの返事だった。
「そう言われるとな」
「黄金よりも畑の方が儲かるの?」
「かもな、まあ畑を耕したいのならな」
リチャードがそう思えば、というのだ。
「ここでやっていけ、いいな」
「うん、僕もお父さん達も西に行こうとは思わないし」
それで、というのだ。
「ここで生きていくよ」
「それならな」
「うん、畑耕していくよ」
「それで儲けろ」
ロバートはこうリチャードに言うのだった、そしてリチャードは実際にだった。村で畑を耕してそれで生計を立てた。
畑は広く肥えていた、それで。
彼は豊かな暮らしが出来た、その中で成長していき。
大人になり結婚もしてからだ、年老いて隠居していた祖父の家の来てそれでこんなことを言ったのだった。
「お祖父ちゃん、いいかな」
「どうしたんだ?」
ロバートはリチャードにすっかり年老いた声で応えた、とはいっても背筋はしっかりとしていて足腰も充分だ。
「一体」
「うん、西部だけれど」
「あっちもかなり落ち着いたみたいだな」
「そう、それでだけれど」
こう祖父に切り出したのだった。
「子供の頃のことだけれど」
「その西部のことか」
「砂金出てからあそこに人がどっといって」
「うちの村からもな」
「どれだけの人が金を手に入れられたのかな」
それは、と言うのだった。
「あの時に」
「それも見てくるか?」
「そうしようかな」
「まあ旅行に行くのならな」
それならとだ、ロバートはリチャードにこう告げた。
「そうしたところも見て来るんだな」
「それも旅行だしね」
「ああ、見て来い」
「女房と一緒に行って来るよ」
こう言ってだ、リチャードは実際に妻のエマリーと共に西部に行った。すると西部は確かに人が多かったがまだかなり荒っぽい場所でだ。
油断するとかっぱらいやならず者に襲われそうだった、半ば無法地帯と言っていい様な場所だった。それで。
リチャ
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